自宅にいながら旅ができる「リモート観光」とは:国内外での取り組み事例6選

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リモート観光とは、オンラインで現地の観光や散策を遠隔で楽しめるものです。「リモートトリップ」、「リモートツーリズム」、「オンライン観光」、「オンラインツアー」などとも呼ばれています。

新型コロナウイルスの影響で移動が制限されている現在、世界各国ではリモート観光という新しい旅行のスタイルが注目されています。

この記事ではリモート観光とは何か、リモート観光の種類、国内外で行われている具体的なリモート観光の事例を紹介します。

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「リモート観光」とは?

新型コロナウイルスの感染拡大以降、「リモート観光」という観光形態が注目を集めています。

リモート観光とは、外出しなくても、家にいながらオンラインで旅行しているような体験ができるコンテンツを指し、「リモートトリップ」、「リモートツーリズム」、「オンライン観光」、「オンラインツアー」と書かれている場合もあります。

日本でも広がりつつあるリモート観光ですが、中国・アメリカ・ドイツなどの海外でも盛んに行われています。

現在主流となっているリモート観光の種類は大きく3つあります。

1. 360度の写真や動画で擬似体験をする「VRトラベル」

VRトラベルとは、観光地の写真にその音声説明を加えたコンテンツを事前に作成し、VRでパノラマ映像として見られるようにすることで、リモートで観光地の雰囲気を体感してもらうものです。

360度写真や動画を用いたものもあり、これらは普通の写真や動画とは異なり周囲をくまなく見渡せるため、実際にその場にいるような高い臨場感を得られます。

現時点では、世界遺産や有名観光地、絶景スポット、コレクションを鑑賞する博物館や美術館など、視覚にわかりやすく訴えかける場所でVRトラベルを導入するケースが多いようです。

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2. リアルタイムで観光地と消費者を繋げる「ライブコマース」

ライブコマースとは、ライブ動画で商品のレビューなどを配信できるECサービスを指します。

日本ではあまり認知度の高くないライブコマースですが、中国ではすでにライブコマースは一般的なものとなっており、インフルエンサーなどが商品をライブ配信で紹介し、消費者はその場で質問などをしながら気に入った商品を購入しています。

ライブコマースは、旅行などの無形商材にも適用でき、観光地の風景をライブ配信し、同時に現地の観光チケットや宿泊を販売することで、リモート観光と実際に現地に足を運ぶオフラインの観光の促進につながっています。

ライブコマースとは

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3. 旅行をテーマにした「ショート動画」

気軽に観光地の景色や雰囲気を楽しめるリモート観光のひとつとしてTikTokInstagramなどのSNSに投稿できる短い「ショット動画」を活用したものがあります。

ショット動画は、多くは3分以内の短い映像で、旅行関連企業や施設による配信のものや、旅行者自身が撮影した動画もあります。

日本国内ではTikTokに公式アカウントを開設し、主に若い世代に向けた観光PRを行っている自治体も多くあります。しかし、2020年10月現在、米中貿易摩擦による影響で、大阪市や神戸市、埼玉県など一部の自治体では、現在TikTokでの活動を中断しています。

国内のリモート観光事例4選

では、実際にどんなリモート観光の形があるのでしょうか。ここでは国内の事例を4つ紹介します。

1. 香川県琴平バス:インバウンド向けのオンラインバスツアーを開催

香川県のバス会社である琴平バスは、Zoomを使ったオンラインバスツアーを提供しています。

たとえば、石見神楽鑑賞ツアーでは、地域の料理が家に届く中継付きのオンラインバスツアーを実施しています。

ツアー当日、参加者は仮想のバスに乗り、石見神楽はもちろんのこと、プランナーによる案内や現地の風景を楽しみ、お土産屋に立ち寄って実際に現地のお土産も購入できます。

また、10月には「インバウンド向け」のオンラインツアーを開催しています。

このツアーは、外国人の参加者が空港に到着した映像から始まり、四国中の観光スポットを楽しめる内容となっていました。

それから、バスの「移動中」には、参加者へのの質問やチャットで双方向のコミュニケーションも取るなどして、参加者を飽きさせない工夫も凝らしています。


琴平バス、初の「インバウンド向け」オンラインバスツアー開催:画面越しでも外国人惹きつけるその工夫とは?

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2. フリギー×JR西日本:京都嵐山の様子を中国に向けてライブ配信

JR西日本は、中国の大手IT企業であるアリババグループが運営するオンライン旅行サービスプラットフォームFliggy(飛豬、以下フリギー)」と連携し、京都の嵯峨嵐山の各観光スポットを堪能する様子を中国にライブ配信するバーチャルイベントを開催しました。

同イベントでは、トロッコ嵯峨駅で列車を鑑賞したり、竹林の中を人力車で散策する様子を見ることができ、配信中視聴者から「美しい」「早く日本に行きたい!」というコメントが多く寄せられました。

このリモート観光は、コロナ収束後の京都への訪日意欲喚起や、コロナ禍の日本の状況を伝える情報発信の面も持っており、新型コロナウイルス収束後のインバウンド客のスムーズな回復につなげる取り組みであるといえます。

フリギー×JR西日本、京都バーチャル旅行開催:「美しすぎる...」と中国人が絶賛

10月9日、中国の大手IT企業であるアリババグループ(中国語:阿里巴巴集団)が運営するオンライン旅行サービスプラットフォーム「Fliggy(飛豬、以下フリギー)」は、西日本旅客鉄道株式会社(以下、JR西日本)と連携し、京都の嵯峨嵐山の各観光スポットを堪能する様子を中国にライブ配信するバーチャルイベントを開催しました。このイベントは、コロナ禍で渡航制限が続く中、訪日旅行が困難な中国人に対し、京都の嵯峨嵐山をはじめとする西日本の魅力を発信することを目的としています。そして、こういったライブ配信...

3. 島ファクトリー:島根県海士町のリモートトリップを開催

島根県隠岐郡海士町のツアー企画・造成などの事業を行う島ファクトリーは、ビデオ会議システムZoomを使って自宅で旅行気分が味わえる「リモートトリップ」と、海士町産の野菜、海産物などの特産を詰め合わせた「海士の手しごとマルシェ」を企画・販売しています。

新型コロナウイルスの感染拡大のため外出を自粛している旅行好きの人々をターゲットに、コロナ禍で困っている観光・旅行業や一次産業を支援する企画として発信されています。

第一回では当日までに参加者に岩牡蠣を配送し、オンラインで岩牡蠣の開け方のレクチャーや、フェリーの乗り方、隠岐についての予備知識などを紹介し、島全体の魅力を打ち出すようなコンテンツを発信しました。2020年10月現時点では計9回のリモートトリップを開催しました。

4. JAL:日本各地のリモートトリップを販売

日本航空(JAL)はデジタルコンテンツとリアルな旅行体験を融合した「リモートトリップ」の実施を開始しました。

現地の音声や映像をZoomを使って伝え、旅行先の特産品を事前に参加者へ配送し、食べ物も楽しみながら、地元の人々と画面を通して交流してもらうものです。

第一弾は前述した海士町とのコラボで、リモートトリップの当日、参加者は自宅などからZoomにログインし、JALのスタッフは「JALイノベーションラボ」と呼ばれる技術拠点から参加しました。場所を移動するごとにグリーンバックに合成する背景を変えるなどして、旅行の臨場感を演出しました。

第二弾では、青森県八戸市の食と文化を紹介するリモートトリップを開催し、三沢空港までのバーチャルフライトと観光名所でのライブ配信と一緒に、名物の「南部せんべい」などの特産品を販売しました。

海外のリモート観光事例2選

リモート観光は、現在日本だけでなく世界中で取り組まれています。ここでは、海外のリモート観光事例を紹介します。

1. アメリカ・ニューヨーク:公式サイトで観光地のバーチャル映像を公開

アメリカのニューヨーク市では、現在公式観光サイトにおいて、ニューヨーク市内の遊園地などのアトラクション、ブロードウェイなどの文化施設、エンターテインメント施設、夜景など8つのカテゴリのバーチャル映像が公開されています。

カテゴリを選択すると、関連する観光スポットや施設の一覧が表示されます。そして、訪れたい場所を選択すると、施設や協会の公式サイトやYouTubeのページに移動できます。

2. Airbnb:世界中でオンライン体験コンテンツを配信

宿泊施設や民泊プラットフォームAirbnbは、新型コロナウイルスの感染拡大によって宿泊需要が落ち込んだ今、リモート観光を楽しむ機会提供と、収入が不安定なホストの支援を目的に、オンラインでの体験プログラムの提供を開始しました。

Airbnbに登録しているホストは、自身の特技や土地の魅力を活かしたさまざまなオンラインコンテンツを配信しており、日本から「僧侶と一緒に瞑想するプログラム」、メキシコからは「本格サルサづくり体験」など、2020年10月現時点では50件のコンテンツが用意されています。

リモート観光で持続的な観光振興に繋げる

リモート観光とは、自宅にいながらインターネットなどを利用して観光地を訪れる体験ができる新しい観光形態です。

新型コロナウイルス感染拡大防止のための外出自粛により旅行に行けなくなった消費者と、観光客が激減した観光施設や自治体の双方にとっての解決策として注目されています。

実際に日本国内や海外では、すでにリモート観光を行っている企業や自治体も多くあり、消費者が実際にそこにいるような感覚を持てることや今後の集客に繋げられることなどを重視したコンテンツ制作が行われています。

リモート観光は、オンライン会議システムを使ったライブ配信や、VRなどを使ったパノラマ映像の配信など様々な形があります。

自身の観光地の魅力を最大限に伝えられる形でのリモート観光を行うことで、ウィズコロナの時代でも持続的な観光振興につながるでしょう。

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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