世界で観光体験におけるニーズが多様化し始めていることをご存知でしょうか。
従来は気晴らし程度に自然などを見て回ることが観光のニーズでしたが、現在はテーマを決めて体験をすることなどが観光のニーズとなっています。
そこで注目され始めたのが「ニューツーリズム」という考え方です。
この記事では、ニューツーリズムの概念や観光に与える影響、定められた6つのテーマにおける事例などを解説します。
観光事業を営んでいるのであれば、ぜひ意識しておきたい概念のはずです。
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ニューツーリズムとは?
ニューツーリズムとは、体験や旅行などの要素を取り入れた新しい旅行形態のことです。
人々が物質の所有に価値を感じる「モノ消費」から、体験や交流に価値を感じる「コト消費」へと価値観が変わったことによって、観光業に求められるニーズが変わったことから、ニューツーリズムが創出されたと考えられています。
具体的なニューツーリズムとして挙げられるのは、以下のようなものです。
- 第一次産業が盛んな地域の人々との交流
- 豊かな自然のなかで静かに過ごす体験
- 歴史や文化が感じられる施設での体験や交流
ニューツーリズムの要素を観光事業に取り入れることによって、地域の文化財や観光資源の掘り起こしの可能性が拓けます。
関連記事:ニューツーリズムとは|訪日外国人に人気・テーマ別観光の具体例
ニューツーリズムが与える影響
ニューツーリズムは、観光事業者のみならず地域全体に対して大きな影響を与えると考えられています。
その理由が、以下の3つです。
- 地域の特性を活かして、あらゆる施設や土地が観光資源となるから
- これまで観光の要素として扱われなかった、人々との交流が観光資源となるから
- 静養を求めて、あらゆる地域や施設に観光客が訪れるから
人々が体験や交流に価値を感じるようになったことから、これまで以上に「〇〇体験」などの事業が盛り上がっていくと予想されます。
インバウンドの本格再開によって、観光事業がさらに盛り上がることが期待されるなか、ニューツーリズムの要素を取り入れることは事業拡大のチャンスともなるでしょう。
関連記事:ツーリズムとこれまでの観光や旅行の違い/10種類のニューツーリズムとオーバーツーリズムを解説
ニューツーリズムにおける6つのテーマと事例

- 産業観光
- エコツーリズム
- グリーン・ツーリズム
- ヘルスツーリズム
- ロングステイ
- 文化観光
以上の6つを主としながらも、さまざまな要素がニューツーリズムには追加されています。
たとえば、着地型商品やサステイナブルツーリズムもニューツーリズムの一部といわれています。
ここでは、初めに挙げられた6つの代表的なテーマの概要と事例を解説します。
産業観光
産業観光とは、歴史的価値や文化的価値がある産業施設や機械器具などを対象とした観光のことです。
観光事業として旅行者が産業に触れることは、その場限りの価値だけではなく、将来的な産業の発展にも必要となります。
また、産業観光は国内観光客だけでなく、インバウンドにも人気です。
たとえば、新潟県では「燕三条 工場の祭典」という工場群の見学イベントを開催し、観光客を対象としたワークショップなども行いました。
このようにこれまで産業としてしか利用していなかったものを、ニューツーリズムを通して意味のある観光業に変換できます。
関連記事:インダストリアルツーリズム(産業訪問/Industrial Study Tourism)とは?
エコツーリズム
エコツーリズムとは、自然環境や歴史的な文化財などを持続可能な状態で観光資源として活用するもののことです。
観光資源の持続性を尊重することによって、環境と経済を両立することにつながります。
ポイントは、観光資源の持続性を尊重したまま、観光需要を生み出すことです。
具体的なエコツーリズムの例としては、以下のものが挙げられます。
- ホエールウォッチング
- バードウォッチング
- 屋久島のエコツアー
どれも環境を損ねることなく、そこに観光需要を見出した例です。
旅行者のニーズが「コト消費」に移り変わっていることを理解すれば、観光需要を見出しやすくなるでしょう。
関連記事:エコツーリズムとは|歴史や日本における事例・課題を解説
グリーン・ツーリズム
グリーン・ツーリズムとは、農山漁村地域において人々や文化などとの交流を楽しむ滞在型の観光のことです。
日本国内では、都会での生活が便利になっていく一方で、便利さによる忙しさに頭を悩ませている人が多くいます。
そこで、田舎への憧れを感じる人々が増えてきています。
グリーン・ツーリズムはそのニーズに焦点を当てたもので、農業体験や農林漁家民泊、食育などが該当します。
人手不足に悩んでいる事業者がグリーン・ツーリズムを取り入れれば、人手不足の解消にもつながることが期待できます。
関連記事:「グリーンツーリズム」とは | 新型コロナが追い風に?コト消費ブーム・歴史と事例3選
ヘルスツーリズム
ヘルスツーリズムとは、自然豊かな地域を訪れることによって心身の健康を回復する観光形態です。
雄大な自然を楽しむレジャー的なものから、食で内側から健康になる医療的なものまで含まれます。
しかし、ヘルスツーリズムの医療的要素については客観的な判断が難しく、NPO法人が認証制度を設けています。
認証を取得した例として、以下の3つがあります。
ヘルスツーリズムを取り扱う際には、信頼性などにおいて観光客と問題が発生しないように配慮する必要があります。
ロングステイ
ロングステイとは、長期滞在型の観光を指したものです。
一般的な旅行よりも、日常生活に近い体験をしてもらうことにより、滞在地域の文化、歴史、慣習に根ざした深い体験を楽しんでもらうことにつながります。
また観光地に長期的に滞在することによって、地域により多くの経済効果をもたらす効果があります。
関連記事:ロングステイとは?定義・地域へのメリット・インバウンド誘致事例を紹介
文化観光
文化観光は、日本の歴史や伝統という文化的な要素に対する知的欲求を満たすことを目的とした観光です。
国内旅行者にももちろん人気ですが、インバウンドにも大変人気のある旅行形態となっています。
日本の文化というと伝統文化ばかりがイメージされますが、アニメや漫画などのサブカルチャーも日本の大切な文化です。
文化を観光資源としてうまく活用していくことが、文化の伝承にもつながるといえるでしょう。
関連記事:城泊とは|長崎県平戸城、愛媛県大洲城、宮城県白石城の活用法
ニューツーリズムは日本の観光業を盛り上げられるか
観光業におけるニーズは従来とまったく異なったものとなり、現代においては観光に体験や交流が求められるようになりました。
人々は物質の所有に価値を見出す「モノ消費」から、体験や交流に価値を見出す「コト消費」へと価値観が移り変わりました。
観光事業者はこのニーズに変化に対応できなければ、時代に置いていかれることになるでしょう。
ニューツーリズムの自社の観光事業にどのように取り入れるかが、これからの観光業のテーマとなります。
今度、ニューツーリズムを取り入れた観光がどのように盛り上がっていくのかに注目が集まります。
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インバウンド需要の高まりに加えて2025年は大阪・関西万博の開催など、国内旅行者に限らず訪日観光客の増加も加速する日本。今、国内観光の需要は増加する傾向であり、ホテル・宿泊業界は大きなビジネスチャンスの時代を迎えています。このような状況において、宿泊施設としての取り組みやサービスの品質改善は、お客様に選ばれ続けるための最重要課題となっています。
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【8/5開催】「THE INBOUND DAY 2025 -まだ見ぬポテンシャルへ-」
2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。
「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。
初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。
参加者一人ひとりが、「自分にとって、企業にとって、地域にとってのインバウンドとは何か」「いま、どう向き合うべきか」「どうすれば日本の可能性を最大化できるのか」という問いを持ち帰り、主体的なアクションへとつなげていただきたいと考えています。
<こんな方におすすめ>
- インバウンド戦略の策定・実行に課題を感じている経営者・担当者
- 最新の市場動向や成功事例を把握し、事業成長に繋げたい方
- 業界のキーパーソンと繋がり、新たなビジネスチャンスを模索したい方
- 小売・飲食・宿泊・メーカー・地方自治体・DMO・観光/アクティビティ事業者
- インバウンド関連サービス事業者、およびインバウンド業界に興味がある学生
【インバウンド情報まとめ 2025年6月後編】「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか
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この記事では、主に6月後半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。
※本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。
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