夏に向けてインバウンド需要はどうなる?2024年の最新情報をチェック!

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2024年に入ってさらに活況を見せるインバウンド需要。日本政府観光局JNTO)が6月19日に発表した最新データによると、5月の訪日外客数は304万100人で、2019年同月比9.6%増を記録。3か月連続で300万人を超えています。

地方創生の柱としても期待されるインバウンドは、実は夏がピーク。需要の拡大に向けて、インバウンド対策を強化する動きも加速しています。

そこで今回は、過去の訪日データを振り返りながら、夏のインバウンド動向やトレンドについて解説。「夏に向けて取り組みたいインバウンド対策」についてもまとめていますので、今年度、インバウンド担当になった方や今後取り組みをスタートしていきたい方もぜひお読みください。

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最新のインバウンド動向(2023年〜2024年5月)

まずは最新のインバウンド動向についてまとめます。

日本政府観光局JNTO)の発表によると、2023年における年間の訪日外客数は2,506万6,100人と推計されています。2019年比では21.4%減となっているものの、2023年10月にコロナ禍以降はじめて2019年の水準を上回るなど、コロナ禍で落ち込んだ需要が大きく回復した1年でした。

2024年に入ってもその勢いは止まらず、引き続き需要は拡大傾向にあります。2024年3月にはじめて単月で300万人を突破して以降、4月と5月も立て続けに300万人を上回るなど、引き続き訪日外客数は好調に推移しています。

▲2023年〜2024年の訪日外客数推移:日本政府観光局(JNTO)訪日外客統計より訪日ラボ作成

外国人旅行消費額も順調に推移しています。2019年は韓国の政情不安による影響があった点には留意が必要ですが、2023年の外国人旅行消費額は2019年比9.9%増となる5兆2,923億円を記録。過去最高を更新しました。

2024年に入ってからは1月〜3月の3か月間で1兆7,505億円を記録し、2019年比で約1.5倍という結果でした。

JTBが発表した2024年の旅行動向の見通しによると、訪日外国人旅行者数は2023年比131.3%の3,310万人になる見込みです。円安などが追い風となり、一層の需要拡大が見込まれています。

最新のインバウンド動向については、訪日ラボの記事もご確認ください。

訪日客のピークは夏!例年のインバウンドデータまとめ

次に、過去の訪日データを振り返りながら、夏のインバウンド動向を見ていきましょう。

コロナ禍前の2019年の月別訪日外客数は、7月が最も多い299万1,189人でした。次いで、桜ツーリズムが活況な4月が292万6,685人、夏シーズンの始まりとなる6月が288万41人という結果に。月間の訪日客数を見比べると、6月と7月に訪日外国人数のピークが来ていることがわかります。

2019年の月別訪日外客数推移
▲2019年の月別訪日外客数推移:日本政府観光局(JNTO)訪日外客統計より訪日ラボ作成

コロナ禍後の需要回復期だった2023年は多少イレギュラーな推移ではありますが、6月に訪日客数が200万人を突破して以降、おおよそ右肩上がりで上昇。7月にはさらに前月比約12%増の約232万人を記録し、コロナ禍の終焉とインバウンド需要拡大を強く印象づける月となりました。

例年、7月のピークに向けて春先から訪日客数が増加する傾向にあります。夏の旅行シーズンに向けて梅雨前から先んじた対策が求められます。ここからは訪日外客数の多いトップ5市場の月別推移を見ていきましょう。

訪日韓国人の月別推移

2014年〜2023年の訪日韓国人数月別推移
▲2014年〜2023年の訪日韓国人数月別推移:日本政府観光局(JNTO)訪日外客統計より訪日ラボ作成

2023年に最も訪日客数が多かった韓国。個人旅行のリピーターが多く、家族やパートナー、友人と連れ立って旅行する人が多い点が特徴です。

12月〜1月の冬季に増える傾向にありますが、韓国の学校の夏休みにあたる7月中旬〜8月下旬にかけても訪日数が伸びています。大学はこれより少し早く、6月中旬から夏期休暇が始まります。

訪日中国人の月別推移

2014年〜2023年の訪日中国人数月別推移
▲2014年〜2023年の訪日中国人数月別推移:日本政府観光局(JNTO)訪日外客統計より訪日ラボ作成

インバウンド市場の中で唯一、回復が遅れていた中国ですが、2024年に入り市場は徐々に回復傾向にあります。

2019年までのデータでは、中国人が最も増加するのは7〜8月。2019年7月のピーク時には105万人を超える訪日客数を記録しました。中国の学校の夏休みは7月上旬~8月下旬の約50日間で、大学は7月上旬~9月上旬の約60日間が一般的な夏季休暇期間です。

訪日台湾人の月別推移

2014年〜2023年の訪日台湾人数月別推移
▲2014年〜2023年の訪日台湾人数月別推移:日本政府観光局(JNTO)訪日外客統計より訪日ラボ作成

韓国に次いで、2023年の訪日客数ランキング2位の台湾。コロナ禍前のデータでは、4月から7月にかけて台湾からの需要は安定して高い傾向にあります。リピーター率も86.4%(2023年第3四半期)と高いことも特徴です。

台湾の学校の夏休みは、7月上旬~8月下旬の約60日間。大学は6月下旬〜9月上旬の約80日間が一般的な夏季休暇期間です。

訪日香港人の月別推移

2014年〜2023年の訪日香港人数月別推移
▲2014年〜2023年の訪日香港人数月別推移:日本政府観光局(JNTO)訪日外客統計より訪日ラボ作成

香港は7月と12月に訪日需要のピークを迎え、この2か月で全体の約20%を占めています。リピーター率は87.8%(2023年第3四半期)で、調査した国の中で最も高い数字を記録。個人旅行が9割を占める点も特徴です。

香港の学校の夏休みは7月中旬〜8月末の約1か月半。大学は8月の約2〜4週間が一般的な夏季休暇期間です。

訪日アメリカ人の月別推移

2014年〜2023年の訪日アメリカ人数月別推移
▲2014年〜2023年の訪日アメリカ人数月別推移:日本政府観光局(JNTO)訪日外客統計より訪日ラボ作成

2023年にはコロナ禍前を上回って過去最多を記録したアメリカ市場。春から夏にかけてが旅行のハイシーズンで、特に6月・7月は学校の休暇期間にあたるため、家族旅行などの訪日旅行の需要が高まる傾向にあります。

アメリカの学校の夏休みは6月~8月の間の約70日間で、大学は同じく6月〜8月の間の約10〜12週間が一般的な夏季休暇期間です。

夏のインバウンドトレンド、人気は「夏らしさ」

6月18日に公表された「令和6年(2024年)版の観光白書」によると、2023年の観光・レジャー目的の訪日外国人旅行者一人あたりの旅行支出は、2019年比で約3割増加しています。特に宿泊費・娯楽等サービス費・交通費が大きく増加するなど、いわゆる「コト消費」のさらなる成長の兆しがうかがえます。

なかでも夏のインバウンドトレンドはどのような傾向があるのでしょうか。訪日外客数の多いトップ5市場を見ていきましょう。

関連記事:最新の「観光白書」を観光庁が公開

訪日韓国人の「夏の観光トレンド」

リピーターが多い韓国人旅行者の間では、「まだ知られていない日本」を求めて、地方都市を訪れる層が増加しています。

夏の旅行先として特に人気が高いのが北海道で、涼しい気候と夏ならではの絶景を求めて訪問する人が増えています。

訪日中国人の「夏の観光トレンド」

SNSの普及やインフルエンサーの影響で、着物レンタルや花火大会、祭りなどが人気。

夏らしい風情を楽しむとともに、フォトジェニックなスポットに特に人が集中しています。地方では沖縄のビーチリゾートや北海道の美瑛町などが人気です。

また、今まさに中国人の間でトレンドになっているのが「逆向旅行(反向旅游)」です。「逆向旅行(反向旅游)」とは「みんなが行く場所とは逆の方向に行く」という意味で、混雑を避けて、比較的人の少ない穴場の観光地を訪れる旅行のことを指します。

中国の市場動向や最新の中国SNSトレンドについては以下の記事で具体的に紹介しています。あわせてご確認ください。

<関連記事>

訪日中国人の集客方法をわかりやすく解説!中国人も重視する「口コミ」を活用するには?

訪日台湾人の「夏の観光トレンド」

健康志向が高まりを見せる台湾では、サイクリングや登山など、体を動かすアクティビティが人気。食事や宿泊が提供される贅沢なグランピングへの注目も高まっていて、コロナ禍前には、インフルエンサーによる日本のグランピング施設の紹介記事も増加傾向にありました。

また、日本食は引き続き人気で、ご当地グルメの需要も高まっています。

関連記事:台湾人・香港人が日本の“中食”に熱視線 8割以上が購入したいのは「惣菜・スイーツ」

訪日香港人の「夏の観光トレンド」

若者を中心に、男女問わず日本のファッション雑誌を愛読している人も多い香港。

国内では購入できない日本ブランドへの関心が特に強いため、季節ごとにショッピング目的で訪日する人も多いのが特徴です。

訪日米国人の「夏の観光トレンド」

サステイナブル・ツーリズム(持続可能な観光)に対する意識が高まっているアメリカ。環境保全に配慮した宿泊施設や、地域の自然・文化を体験するツアーが特に人気です。

夏は家族旅行で訪れる人も多いため、子連れでも楽しめる環境やアクティビティが特に人気の傾向にあります。

2023年夏「訪日外国人が日本でやりたいこと」ランキング

大手予約サイトKlookは、訪日観光客が夏の旅行に期待する体験について2023年に調査を実施しています。2023年6月には調査結果をもとに、「2023年夏、訪日外国人観光客が“日本でやりたいこと”TOP10」を発表。TOP10は以下です。

「2023年夏、訪日外国人観光客が“日本でやりたいこと”TOP10」

1位:富士山ツアー
2位:着物・浴衣体験
3位:京都寺院めぐり
4位:白川郷ツア
5位:ゴーカート
6位:北海道ラベンダー(富良野)/美瑛ツアー
7位:富士五湖エリア〜川越周遊ツアー
8位:花火
9位:高千穂峡ツアー(宮崎)
10位:ダイビング・シュノーケリング

富士山ツアー(登山)を筆頭に、着物・浴衣体験や花火大会など、夏時期にしかできない体験への注目が高まっていることがわかりました。

また、北海道富良野のラベンダーツアーなど夏にしかみられない景色も人気を博すなど、やはり夏のインバウンドトレンドは“夏らしさ”がキーワードになりそうです。

今、インバウンド対策としてやっておくべきことは?

訪問先の選定など旅行準備を数か月前から始める場合も多いため、夏の訪日ピークに合わせて、早め早めの対策が必要です。

では、夏本番を迎える前にインバウンド対策としてやっておくべきことは何か。訪日ラボでまずおすすめしたいインバウンド対策としては、夏に限らずではありますが「デジタルマーケティングの強化」です。


デジタルマーケティングを活用するメリットは、集めた顧客データに基づいた最適なアプローチが行えることと、少ない予算からでも始められることです。地方自治体や中小規模事業者が、海外の旅行者や旅行代理店にアピールする際に、最も有効な手段の一つと言えるでしょう。

デジタルマーケティングといってもさまざまな施策があり、訪日ラボでは、ターゲットや実現したいことなどによって、公式サイトの多言語化・SEOや、SNS、口コミサイトOTA、広告、CRM(顧客管理システム)などの取り組みを組み合わせた施策を提案しています。

しかし「何から始めていいのかわからない」「あと1か月しかないので効率的に実施したい」という声があるのも事実です。そこで、これから取り組みを始める方には、「Googleマップ」と「大衆点評」の活用を推奨します。

Googleマップ

Googleマップは、世界で10億ダウンロードされているマップサービスです。マップ上の施設や店舗ページに来店者からの口コミを収集できます。Googleマップの店舗アカウントは無料で作成でき、多言語対応も可能なため、コストを抑えて世界中の旅行者にアピールできる点が魅力です。

Googleマップの口コミを、旅の準備段階で訪問先を選ぶための参考にしたり、旅の最中にお店選びなどで活用したりする旅行者も多く、対策を強化する事業者が増えています。

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大衆点評

▲大衆点評について

大衆点評は、中国最大手の生活情報サイト(アプリ)です。中国および世界中の店舗情報と消費者によるレビューが掲載されています。

ユーザー数は6.78億人で、登録施設数は3,000万店舗を突破。日本国内の飲食店や商業施設なども掲載されていて、日本を旅行する中国人にとって欠かせない情報収集ツールです。

例年、夏休みシーズン前後に訪日のピークを迎える中国市場。個人旅行の増加や「モノ消費」から「コト消費」への嗜好変化なども念頭に入れて、ピークの1〜2か月前からプロモーション活動を始める必要があるでしょう。

まずは大衆点評がどんなプラットフォームか知りたい方は、「大衆点評の教科書」をご覧ください。

大衆点評公認!【大衆点評の教科書】を見てみる→こちらから

訪日ラボを運営する株式会社movは、大衆点評と日本で3番目となる公式パートナー契約を締結しています。Googleマップも含め、デジタルマーケティングに関わるご質問やご相談は、訪日ラボ(株式会社mov)にてサポートを提供しております。気になる方はぜひお気軽にお問い合わせください。

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<参照>

日本政府観光局(JNTO):訪日インバウンド市場別情報 / 訪日外客統計

観光庁:訪日外国人消費動向調査

株式会社JTB:2024年(1月~12月)の旅行動向見通し

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今年も残りわずかとなりましたが、インバウンド需要はまだまだ好調をキープしている状況です。来年の春節や桜シーズンなど、訪日客が集まる時期に向けて対策を練っていきたいという方も多いでしょう。

今回もインバウンド業界最大級メディア「訪日ラボ」副編集長が、10〜11月のインバウンドトレンド情報についてお話ししていきますので、ご興味のある方はぜひご覧ください。

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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