日本政府観光局の発表によると、訪日外国人観光客の数は、2015年は1974万人で、2015年度は2136万人となり、2000万人の大台を初めて突破しました。政府は東京五輪・パラリンピックが開催される2020年の訪日外国人観光客数の目標を4000万人とするなど、今後さらなる訪日外国人観光客の取り込みが期待されています。
2015年の観光客数を国・地域別で見ると、中国からの観光客が最も多く499万人、次いで韓国400万人、台湾368万人となっております。1位の中国は人の多さもさることながら、「爆買い」などの社会現象も話題になるなど、日本経済に与える影響は大変大きなものになっております。
今や訪日中国人観光客をいかに取り込むかが日本企業の今後の成長において大きなカギとなっています。では、その中国人観光客を今後もさらに取り込むためにはどうすればよいのでしょうか?訪日中国人観光客の動向と、受け入れる側の現状から考えてみたいと思います。
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訪日中国人観光客について
2015年の中国からの観光客は499万人と最も多くなっており、訪日外国人観光客全体の25%にあたります。街の様々な場所で飛び交う中国語と、観光やショッピングを楽しむ中国人の姿を目にしたことがあるのではないでしょうか。
中国人=「爆買い」というイメージが定着しており、実際、ここ数年小売業などで業績を伸ばしている日本企業は、訪日中国人観光客の需要をうまく取り込むことができた企業が多くなっており、その存在感はますます重要なものになってきております。
なぜ訪日中国人観光客は増えているのか?
2015年、中国からの観光客数は、2014年比107%増と2倍以上の伸びになっています。なぜこんなにも多くの中国人が日本を訪れているのでしょうか?理由はいくつかありますが、主な理由は、ビザ発給などの渡航要件の緩和、円安元高、LCC(格安航空会社)航空便の増加があげられています。また、中国における富裕層の拡大や、連休中における中国国内の行き過ぎた混雑を避けるためなど、中国経済の発展に伴う要因もあげられています。
訪日中国人観光客の目当ては「爆買い」ではなくなってきている?
訪日中国人観光客=「爆買い」というイメージが強いですが、最近の消費動向は少し変化が見られるようです。以前は、中国人観光客といえば、団体で家電量販店や百貨店、ドラッグストアなどに押し寄せ、金額も気にせずショッピングを楽しむというのが定番というイメージがありましたが、近頃は、個人旅行人気の高まりや中間層の拡大などにより、日本独特のサービスや文化を楽しむ体験型観光、いわゆる「モノ」から「コト」へのシフトが起きつつあるようです。
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訪日中国人観光客の情報源とは?
中国人の関心が「モノ」から「コト」へ移ることで、観光の目当ても、より穴場な場所であったり、その地域ならではの体験だったりとよりコアなものへの移っており、他と差別化をした様々なツアーを提案する旅行代理店も増えてきています。
また、中国人がそれらの情報を収集するために重要視するものは、口コミやネットのブログ記事だと言われております。中国ではGoogleは当局の規制により使用できませんが、中国の検索エンジンである「百度」などを利用する方も多いようです。
中国ネットワークインフォメーションセンター(CNNIC)の発表によると、中国のインターネット人口は6億8800万人で、総人口の半数を越え、その大半はスマートフォンなどのモバイルを利用しているとされており、ネット社会の進展が急速に進んでいます。ネットに慣れ親しんだ中国人は当然、日本に来てからもネットを頼ります。
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日本のWi-Fi(ワイファイ)環境
では、そのネット社会から来た中国人を迎える日本のWi-Fi環境はどのようになっているのでしょう?国土交通省や総務省などの調査によると、日本国内の無料Wi-Fiは、通信事業者や携帯キャリア、小売店舗、飲食店、自動販売機、公共交通機関、観光案内所、自治体などが設置していますが、まだまだ十分な設置状況とは言えません。その証拠に2015年の観光庁 訪日外国人消費動向調査で、訪日中国人観光客が旅行中困ったことの1位が無料公衆無線LAN環境で、訪日中国人観光客の57.5%が不満に感じています。
日本が行っているWi-Fi(ワイファイ)対策
日本政府は、そのような状況と2020年の東京五輪・パラリンピック開催を踏まえ、訪日外国人が世界最高水準のとICTを「サクサク」利用できる環境を実現することを目指した「SAQ2(サクサク)JAPAN Project」を公表し、無料Wi-Fiの整備促進などを重点的に取り組んでいくこととしています。これにより、中国人をはじめとする訪日外国人観光客が迅速かつ容易に、日本国内で様々な情報を手に入れることができるようになると期待されています。
まとめ:まとめ:訪日中国人観光客を取り込むために
今後、Wi-Fi(ワイファイ)環境が政府や企業などの努力により充実すれば、中国人をはじめとする訪日外国人観光客にとって日本がより魅力的な観光地になると考えられます。
現在、増え続けており、日本にとって大きな存在である訪日中国人観光客を一過性のもので終わらせるのではなく、今後も継続的に増やしていくためには、日本のファンになってもらい継続的なリピーターになってもらうことが重要です。
しかし、Wi-Fi(ワイファイ)環境などが整備されても、それはあくまでも情報発信・収集のツールでしかありません。受け入れる側がいかに魅力を発信し、いかに中国人のニーズやウォンツを取り込んでいくかが重要になります。
もう待っていても観光客がやってくる時代ではなくなってきています。環境などのハード面での充実だけではなく、どのような価値を提供していくのかといったソフト面の充実、その両輪がこれからは求められていくのではないでしょうか。
<参照>
- 観光庁:訪日外国人消費動向調査 平成27年の年間値の推計
- JNTO:訪日旅行データハンドブック2016(世界20市場)
- 中国ソーシャルメディア雑記:CNNICが最新の中国インターネット発展状況報告を発表 インターネット普及率が初めて50%を突破
- 総務省:「SAQ2(サクサク) JAPAN Project」の公表
訪日中国人観光客インバウンドデータ集
データでわかる訪日中国人観光客
爆買いという流行も後押しし、2015年の中国人訪日外客数は前年の約2倍となる499万人となりました。また、2015年の訪日中国人によるインバウンド消費額は約23万円で前年比10%増程度ですが、訪日外客数増加の後押しをうけ、訪日中国人全体のインバウンド消費額はなんと5,583億円。
訪日中国人観光客の特徴
'爆買い'という流行語が現れるほどに存在感を放っている訪日中国人観光客。日本国内でも大きな注目が集まっており、彼らに関するニュースやコラムを目にする機会は少なくありません。
訪日中国人観光客が中国国内でよく見る人気のWEBサイト一覧・解説
中国はご存じのとおり、facebookやtwitterが閲覧できないほど非常に厳しいネット規制があります。中国国外のWEBサイトの検閲規制がかかっていたり、サーバードメインも現地法人がないと取得できなかったりと、様々な壁が存在します。
訪日中国人観光客が愛用するスマホSNSアプリ事情(1):WeChat(微信)
訪日中国人観光客の増加に伴い、インターネットを活用したインバウンドマーケティングへの関心が高まっています。しかし、中国のネット事情は日本とは大きく異なります。
訪日中国人観光客が愛用するスマホSNSアプリ事情(2):テンセントQQ
訪日中国人観光客が必携としているコミュニケーションツールをWeChat(微信)のほかにひとつだけ挙げるとしたら、それはテンセントQQ( 騰訊QQ、Tencent QQ; 以下、QQと略)だといえるでしょう。
訪日中国人観光客が愛用するスマホSNSアプリ事情(3):Weibo(微博)
訪日中国人観光客が常用するアプリとしてWeChat(微信)とQQを取り上げましたが、Weibo(微博)も忘れてはなりません。「微博」は中国語で“ウェイボー"と読み、ミニブログ、マイクロブログという意味です。
訪日中国人観光客が愛用するスマホSNSアプリ事情(4):人人網(レンレンワン)
訪日中国人観光客が常用するサービスとして、WeChat(微信)、QQ、Weibo(微博)をご紹介してきました。いずれもTwitter(ツイッター)、Facebook(フェイスブック)の良い所どりをしながら機能の充実を図ってきており、若干の不確定要素をはらみながらも、中国の3大SNSとして大きな存在感を誇示しています
訪日中国人観光客が愛用するスマホSNSアプリ事情(番外編1):ネット規制のアプリへの影響&ニュースアプリ篇
昨年(2015年)以来、中国経済を語るうえで重要なキーワードとなっているものに「互聯網(フーリエンワン)+」(インターネットプラス)があります。これは中国国務院(日本の内閣に相当)総理の李克強氏が唱えたコンセプトです。
訪日中国人観光客が愛用するスマホSNSアプリ事情(番外編2):ネットラジオ篇
「読みたい記事」が自在にカスタマイズできる「今日頭条(ジンジートウティアオ)」がニュースアプリの定番となる一方、「聞きたい番組」を自由自在に取捨選択できるネットラジオアプリも人気を集めています。
中国SNS「RED(小紅書)」最新情報セミナー:訪日ラボ社内勉強会の内容を特別に公開します【訪日ラボ トレンドLIVE! Vol.6】
短時間でインバウンドが学べる「訪日ラボ トレンドLIVE!」シリーズの第6弾を今月も開催します!訪日ラボとして取材や情報収集を行う中で、「これだけは把握しておきたい」という情報をまとめてお伝えするセミナーとなっています。
今年も残りわずかとなりましたが、インバウンド需要はまだまだ好調をキープしている状況です。来年の春節や桜シーズンなど、訪日客が集まる時期に向けて対策を練っていきたいという方も多いでしょう。
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