先日、「観光立国基本計画」が閣議決定され、2016年に策定された「明日の日本を支える観光ビジョン」で制定された目標値 2020年に年間訪日外客数4,000万人が基本計画に盛り込まれることとなりました。
インバウンド担当者なら知らなきゃマズイ!観光立国推進基本計画が閣議決定 その改定内容を解説
先日3月28日、日本の「観光立国」の実現に関する基本的な計画 「観光立国推進基本計画」の改定案が閣議決定 されました。「観光立国推進基本計画」とは、 「観光立国推進基本法」にもとづき、インバウンドを含めた日本の観光に関する基本的な方針・目標を定めたもの で、日本のインバウンドに関わる政策や取り組みの方向性を左右する重要なものとなります。インバウンド対策にお困りですか?「訪日ラボ」のインバウンドに精通したコンサルタントが、インバウンドの集客や受け入れ整備のご相談に対応します!訪日ラボに相談し...
このインバウンドにおいて定められた4,000万人という目標値は、どれほどの数値なのでしょうか?他国のフランスやアメリカ、スペインと言った観光先進国と比較し、「インバウンドキャパシティ」の観点から達成可能なのかを検証してみましょう。
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そもそも日本は観光国として何位?
2016年は訪日外客数2400万人を、インバウンド宿泊数では7000万人泊を突破し、インバウンド消費額では3.7兆円まで成長した日本のインバウンド市場。今のところ右肩上がりで成長し続けていますが、世界の観光先進国と比較した場合、日本は観光国としてどれくらいの水準となっているのでしょうか。
【速報】2016年のインバウンドは過去最高の2403.9万人!
昨日2017年1月17日、JNTOより訪日外客数統計の2016年年間値が発表され、2016年のインバウンドは過去最高の2403万9千人であったことがわかりました。2015年の1973.7万人に対し、前年比21.8%増となり、初の2000万人突破。JNTOが統計を取り始めた1964年以降、最多の訪日者数となりました。 目次2016年 2400万人突破!このままのペースであれば4000万人も不可能じゃない2013年から振り返るインバウンド市場各国のインバウンド市場推移訪日中国人観光客訪日台湾人...
2016年のインバウンド宿泊は7000万人泊超!伸び率では香川が断トツ1位
昨年2016年のインバウンドの宿泊数は述べ 7,088万人泊 となり、前年比8.0%増となりました。観光庁がインバウンドの宿泊について調査を開始した2007年(平成19年)と比較すると約3倍の宿泊者数となっています。それぞれの都道府県別で見てみると 都市部よりも地方の伸び率が非常に高い傾向 にあることがわかります。訪日客の地方誘致に重要なのは、まず「知ってもらうこと」。効果的なインバウンドプロモーションの資料を無料でダウンロードする「インバウンド動画プロモーション」の資料を無料でダウンロー...
【速報】2016年インバウンド消費 3兆7,476億円で前年7.8%増:中華圏シェア率若干減、1人あたり消費額減に対し訪日数増が下支え
観光庁はこのほど、訪日外国人消費動向調査の平成28年(2016年)年間値を発表しました。同調査によれば、平成28年(2016年)の訪日外国人旅行消費額(インバウンド消費額)は3兆7,476億円で、前年2015年(3兆4,771億円)比で7.8%増という結果に。しかしながら、訪日外国人観光客1人当たり旅行支出は15万5,896円(前年比11.5%減)と、円高の影響を如実に受ける結果となりました。 2016年インバウンド消費の概況:7.8%増加の3兆7,476億円2016年インバウンド消費概況...
日本は現状 観光先進国ランキングTOP10圏外…
世界一の観光先進国と言われるフランスの外国人旅行者数、つまりインバウンド旅行者数はおよそ8,445万人で、日本の約4倍の数字を誇ります。次いで米国が約7,751万人、3位のスペインで6,822万人となっています。
日本は2015年のデータで約1,974万人でランキングとしては 16位 に位置しています。アジア圏で絞ったとしても、中国(5,689万人)、トルコ(3,948万人)、タイ(2,988万人)、香港(2,669万人)、マレーシア(2,572万人)に次ぐ 6位 となっています。
また、他国の2015年のデータに日本の2016年の訪日外客数(約2404万人)を突き合わせたとしても、 世界ランクでは1位上昇の15位、アジア圏では変わらず6位 のままで、ここからも観光国としては発展途上であると言えるでしょう。
「インバウンドキャパシティ」から考える日本のインバウンドの将来
冒頭でも触れたとおり、日本のインバウンド、ひいては観光立国のために「観光立国基本計画」において、2020年に訪日外客数4,000万人という目標が定められました。また、「観光立国基本計画」改定案目標値の元となった「明日の日本を支える観光ビジョン」においては、2020年の4,000万人だけでなく、2030年には6,000万人を目指すことが掲げられています。
さて、それでは日本のインバウンド市場はそこまでの成長の余地は残されているのでしょうか。 どれくらいの訪日外国人観光客を受け入れることができるのか、いわば「インバウンドキャパシティ」 について考えてみましょう。
インバウンドキャパシティを考える上では、本来その国の観光資源や宿泊施設数、交通機関などのインフラ、その他多数の指標から考えねばならないと思いますが、一度単純明快に「 人口 」そして「 国土面積 」からインバウンドキャパシティを考えて見ようと思います。
「人口」はおもてなしをする、ないし受け入れインフラ整備のためのマンパワーとして、「国土面積」は、どれだけ観光資源を保有できるのか、また単純な受け入れのための”ハコ”としてのキャパシティをはかるために指標として採用します。
人口から考えるインバウンドキャパシティ
マンパワーとしてのインバウンドキャパシティをはかるために 「インバウンド旅行者数÷その国の人口」から割り出した「人口インバウンドキャパシティ指数」 を見てみましょう
この「人口インバウンドキャパシティ指数」が 1よりも大きければ、その国の人口よりもインバウンド旅行者数の方が多い国 、という意味になります。こうしてみると、マカオが異常なほどにインバウンド旅行者を受け入れており、また、観光先進国は軒並み「人口インバウンドキャパシティ指数」が1以上であることがわかります。
対して 日本はわずか0.16 。この数字は、今回集計した「インバウンド旅行者数の実数における全世界TOP40」の国々の中でも際立って低い数値(平均1.52/最低0.006)で、集計した40カ国のなかでは 36位 となっています。
国土面積から考えるインバウンドキャパシティ
それでは、観光資源の豊富さや、”ハコ”としてのキャパシティをはかるために 「インバウンド旅行者数÷その国の面積(平方km)」から「面積インバウンドキャパシティ指数」 を割り出してみましょう。
なお、面積の算出においては観光資源として成り立ちづらい森林山岳部を除いたものを使用しています。そのため言ってみれば「観光として有効な土地1平方kmあたりに年間で何人の外国人旅行者が来たのか」という数値です。
「面積インバウンドキャパシティ指数」においてもマカオの異常値が際立ちます。2位の香港が37,845(人/平方km)なのに対して、1桁飛び越えて507,376(人/平方km)という数値を叩き出しています。
マカオはわずか28平方kmという国土に対して、年間1,430万人のインバウンド旅行者を受け入れており、前述の「人口インバウンドキャパシティ指数」とあわせて、その観光先進国としてのキャパシティの高さを伺わせます。
アジア圏では香港やシンガポールも際立って高く、次いで台湾が位置しており、これらの華僑(中国本土から海外に移住した中国人およびその子孫)が数多く住んでいる国の間では相互受け入れが盛んなのでは、とも考えられます。
日本はかろうじてTOP20入り を果たしますが、他の観光先進国と比較すれば、「面積インバウンドキャパシティ指数」においても、 まだまだ成長の余地が残されている といえるでしょう。
例えば、韓国の363という指数水準を日本に照らし合わせると、およそ4,316万人となります。韓国は、極東に位置し、また北朝鮮を挟んで大陸と分断されており、日本と似たような観光的ハンディキャップがあります。そのため、観光戦略におけるベンチマークにもなるのではないでしょうか。
まとめ:日本のインバウンドはまだまだ伸びしろがある
現在の日本のインバウンドの成長率から考えると、2020年の訪日外客数4,000万人は到達不可能な数値ではないことは、以下の記事でも解説しました。
【速報】2016年のインバウンドは過去最高の2403.9万人!
昨日2017年1月17日、JNTOより訪日外客数統計の2016年年間値が発表され、2016年のインバウンドは過去最高の2403万9千人であったことがわかりました。2015年の1973.7万人に対し、前年比21.8%増となり、初の2000万人突破。JNTOが統計を取り始めた1964年以降、最多の訪日者数となりました。 目次2016年 2400万人突破!このままのペースであれば4000万人も不可能じゃない2013年から振り返るインバウンド市場各国のインバウンド市場推移訪日中国人観光客訪日台湾人...
2017年以降、仮に2016年の前年比増加率21%に対し、年々3%ずつ増加率が減っていったと仮定した場合であっても、2020年には3,982万人まで到達し、なおかつ東京オリンピックによる底上げもあるので、訪日外客数の増加率の観点からは4,000万人はある程度手堅い数値とも言えます。
一方、日本の人口や国土面積から考えた「インバウンドキャパシティ」の観点から見れば、日本のインバウンドの成長余地はまだまだ残されていると言えます。現状では、マンパワーの効率的な活用も、国土に対する観光資源の掘り起こしも進んでいないと言え、いわゆる「オールジャパン体制」による観光立国推進ができれば、観光立国基本計画の目標値を大幅に超える成長が期待できるのではないでしょうか。
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