タクシーはどうやってインバウンドにおいて多言語化・コミュニケーション対応に取り組むべきなのか?
インバウンド市場が盛り上がる中で、タクシーが多言語化・コミュニケーションによりインバウンド集客する事例が増えています。タクシーの多言語化・コミュニケーションの成功事例では、効果的にプロモーションを行えています。このページでは、タクシーのインバウンド対策やインバウンド集客における多言語化・コミュニケーションについて次の3つの事例を取り上げます。
- タクシー×多言語化・コミュニケーション事例その①:KDDI、訪日観光客向け「多言語音声翻訳システム」の社会実証を沖縄のタクシーでスタート
- タクシー×多言語化・コミュニケーション事例その②:MKタクシーがドライバーの英会話力向上にオンライン語学トレーニングプログラム「Rosetta Stone®」を活用
- タクシー×多言語化・コミュニケーション事例その③:みなとタクシーが多言語翻訳アプリを導入
タクシーの多言語化・コミュニケーションによるインバウンド対策やインバウンド集客には、顧客層を広げられるというメリットがあります。訪日外国人は日本語を読めない人がほとんどなので、日本語だけの対応では訪日外国人を取り込むことは難しくなってしまいます。また海外向けにプロモーションを行っても、対応が日本語だけではその効果が薄くなります。多言語化・コミュニケーション対策は訪日外国人対応をする上で必須といってもよいでしょう。
近年の訪日外国人急増を受け、インバウンド対策として多言語化・コミュニケーション対策を真っ先に行ったところも多くありました。しかしその方法はさまざまです。ここでは、タクシーという業界・業種における多言語化・コミュニケーションによるインバウンド対策事例を見ていきましょう。
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「翻訳業務」の資料を無料でダウンロードする「多言語化表示サービス」の資料を無料でダウンロードする「多言語サイト制作」の資料を無料でダウンロードするKDDI、訪日観光客向け「多言語音声翻訳システム」の社会実証を沖縄のタクシーでスタート
KDDI、KDDI総合研究所、沖縄県ハイヤー・タクシー協会、沖縄セルラーは、沖縄県のタクシーにおいて、多言語音声翻訳システムを活用した訪日外国人向け社会実証を開始しました。KDDIとKDDI総合研究所は、2015年11月から鳥取県のインバウンド向け観光タクシー、2016年12月から東京都の「東京観光タクシー」において、多言語音声翻訳システムを活用した社会実証を行っており、今回が3回目の社会実証となります。
タクシーに搭載される多言語音声翻訳システムは、後部座席に設置されたタブレットならびにマイクと、運転席に設置されたマイクを通して行われた会話を、クラウド上にある多言語翻訳プラットフォームによって目的の言語に翻訳。
今回の社会実証では、新たにGPS情報が用いられ、地域ごとの辞書の切り替えが可能になります。これにより、同音異義語や地域により読み方の異なる固有名詞が識別され、音声翻訳システムの精度が向上するのだといいます。
沖縄県の訪日外国人は、沖縄発着航空路線の拡充や、クルーズ船寄港の回数が増加したことなどから、2017年度上半期に過去最高の約150万人、昨年比で約21%増と増加傾向にあり、タクシー運転手と訪日外国人のタクシー内での円滑なコミュニケーションに対するニーズが高まっています。
KDDIとKDDI総合研究所は、訪日外国人の満足度や安心感の向上、旅行者数増加やリピート率の上昇、観光による地域経済への波及に向けて、今後もICTを活用した取り組みを進めていくとしています。
MKタクシーがドライバーの英会話力向上にオンライン語学トレーニングプログラム「Rosetta Stone®」を活用
「MKタクシー」で知られるエムケイグループのうち、大阪エムケイ株式会社、神戸エムケイ株式会社、福岡エムケイ株式会社の3社は、アシストマイクロ株式会社が提供する米国Rosetta Stone Inc.の言語学習ソリューション「Rosetta Stone®」を2015年5月に導入し、ドライバーの英会話学習に活用しています。
1年の学習期間を経て、訪日外国人とのコミュニケーションが少しずつスムーズ化するなど、確かな効果を実感しています。この結果を踏まえ、2016年度は導入範囲を広げ、さらなる訪日外国人へのサービス向上に積極的に取り組んでいます。
訪日外国人が急増する中で、エムケイ西日本グループにも英会話のできるドライバーの要望が数多く寄せられるようになりました。そこで同グループでは、ドライバーの英会話力を高めるために、ドライバーが自主的に学べる学習ツールの導入を検討しました。検討に当たり、同社が重視した条件は以下の3点でした。
- 話すトレーニングができること(英会話スキルを習得するには、話すトレーニングが不可欠なため)
- パソコンだけでなく、スマートフォンなどでも学習できること(パソコンを所有していないドライバーが多く、また、スマートフォンであれば、待機時間などを利用して学習できるため)
- ドライバーが負担できる程度の価格であること
これらの条件を満たす教材はRosetta Stone®しかない、との判断から採用に至ったとのこと。なお、ドライバーの多くが50代後半であり、パソコンやスマートフォンを使った学習に不慣れな対象者が多いことから導入に際しては、アシストマイクロが各営業所(5カ所)を訪問し、学習方法についての説明会を実施。
エムケイ西日本グループでは、希望するドライバー全員がRosetta Stone®を学習できるような体制づくりに力を入れています。費用は学習者が負担するものの、毎月240分(4時間)以上学習すれば、費用の半分を会社が負担します(次年度からは全額負担)してくれます。また、ドライバーの学習を支援するため、大阪本社と神戸本社では、ネイティブ講師による「英会話サロン」(月2回)や、英会話レベルをチェックする独自の英会話認定テスト(年3回)も実施しています。
みなとタクシーが多言語翻訳アプリを導入
大分県別府市に本社を置くみなとタクシーグループでは、別府や由布、大分、国東各市を走る車両約90台に、31カ国語を翻訳するアプリを備えたタブレット端末を導入しました。県内のタクシー会社では初めての試みだといいます。
増加する訪日外国人やラグビーワールドカップ(W杯)大分開催などを見据えて7月から活用しています。
英語や中国語、ベトナム語などが翻訳でき、半分以上の言語で音声による入力、出力が可能です。「外国人利用客とのコミュニケーションが課題でした。サービスが認知され、海外からの方にも安心してタクシーを使ってほしい」と同社。
これまで課題となっていた訪日外国人からの「言葉が通じず目的地を伝えらない」といった問題が解消できるほか、日本ならではのおもてなしやサービスの向上が期待できます。