【担当者のぶっちゃけトーク&業界の裏話満載!】訪日ラボが注目する21社に聞く 2017年インバウンドの総括&2018年の業界予想!2018年のキーワードはインバウンドでも『選択と集中』:Wi2、ゼロイン、BEYONDの3社(インバウンドトライアングル)にお話聞きました

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2017年も残りわずかとなりました。昨年2016年と比較してわかりやすい事件や変化が無かった印象の2017年ですが、実は様々なトレンドの変化を迎えていました。

そこで、今回は、訪日旅行者のマーケティングからプロモーションまでワンパッケージで提供する統合ソリューション「インバウンドトライアングル」の提供をする3社より、株式会社ワイヤ・アンド・ワイヤレス(以下:Wi2)の川西 哲平氏、株式会社ゼロイン(以下:ゼロイン)の木立 徹氏、株式会社BEYOND(以下:ビヨンド)の道越 万由子氏のお三方にインバウンドトライアングルの取り組みなどを踏まえて2017年のインバウンド振り返り&2018年業界予想をお話いただきました。

訪日ラボでは「訪日ラボが注目しているインバウンド対策企業21社に聞く、2017年のインバウンド業界総括&2018年の業界予想」という企画で、2017年のインバウンドは実際の所どうだったのか、また2018年はどうなるのかについてインバウンドビジネス最前線で活躍されている方々にお話を伺っていきます!

<2017年インバウンドの総括&2018年の業界予想 一覧はこちら>

【担当者のぶっちゃけトーク&業界の裏話満載!】訪日ラボが注目する21社に聞く

2017年も残りわずかとなりました。昨年2016年と比較してわかりやすい事件や変化が無かった印象の2017年ですが、実は様々なトレンドの変化を迎えていました。そこで、今回は、訪日旅行者のマーケティングからプロモーションまでワンパッケージで提供する統合ソリューション「インバウンドトライアングル」の提供をする3社より、株式会社ワイヤ・アンド・ワイヤレス(以下:Wi2)の川西 哲平氏、株式会社ゼロイン(以下:ゼロイン)の木立 徹氏、株式会社BEYOND(以下:ビヨンド)の道越 万由子氏のお三方に...

【担当者のぶっちゃけトーク&業界の裏話満載!】訪日ラボが注目する21社に聞く 2017年インバウンドの総括&2018年の業界予想

2017年も残りわずかとなりました。昨年2016年と比較してわかりやすい事件や変化が無かった印象の2017年ですが、実は様々なトレンドの変化を迎えていました。そこで今回は、インバウンド市場で中国に次ぐポテンシャルを持ち、またマーケティングし易いことから話題となる機会が多かった 台湾市場 を中心に活躍される、ソリッドインテリジェンス株式会社の丸野敬 氏、株式会社ビジョンより麻生剛 氏、株式会社TSUNAGUの萩原良 氏、そして株式会社グローバル・デイリーの張蕙宇 氏の4名に、2017年のイン...

【担当者のぶっちゃけトーク&業界の裏話満載!】地方の課題は「意思決定の遅さ=機会損失」にあり…訪日ラボが注目する21社に聞く

2017年も残りわずかとなりました。昨年2016年と比較してわかりやすい事件や変化が無かった印象の2017年ですが、実は様々なトレンドの変化を迎えていました。そこで今回は、インバウンドのコト消費化、それにともなう地方誘致が見え始めたことから、今年話題になることが多かった 地方創生・地方誘致 について、2017年のインバウンド振り返り&2018年業界予想を株式会社Voyaginの高橋理志 氏、株式会社ナイトレイから石川豊 氏、そして株式会社PIJINの松本恭輔 氏の3名お話いただきました。訪...

【担当者のぶっちゃけトーク&業界の裏話満載!】2017年、中国市場で「勝ち組」「負け組」を分けた要因とは?…訪日ラボが注目する21社に聞く

2017年も残りわずかとなりました。昨年2016年と比較してわかりやすい事件や変化が無かった印象の2017年ですが、実は様々なトレンドの変化を迎えていました。そこで今回は、2016年から2017年にかけて爆買いの衰退や急速なコト消費化、その他様々な話題を呼んだインバウンド最大の市場である 中国市場 について、2017年のインバウンド振り返り&2018年業界予想を株式会社トレンドExpressの濱野智成氏、株式会社マイナビの杠元樹氏、全日空商事株式会社からは藤井伸行氏、そして株式会社デジタル...

【担当者のぶっちゃけトーク&業界の裏話満載!】現地拠点を構えているからこその情報満載!訪日ラボが注目する21社に聞く

2017年も残りわずかとなりました。昨年2016年と比較してわかりやすい事件や変化が無かった印象の2017年ですが、実は様々なトレンドの変化を迎えていました。そこで今回は、アジアを中心に現地法人を構える各社に 現地の声・動向 を踏まえて2017年のインバウンド振り返り&2018年業界予想を、台湾についてはジーリーメディアグループの吉田皓一氏、タイについては株式会社水野:氏、シンガポールは株式会社ポインツジャパンより山本紘章氏、そして東南アジア各国についてGushcloud Japanの澤宏...

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欧米系へのシフトが始まった2017年のインバウンドビジネス

ーまずは、2017年のインバウンドを振り返っていかがでしたでしょうか?

ビヨンド 道越 万由子氏(以下、道越): そうですね。爆買いも落ち着き、リピーターも増え、王道ルート以外にも行ってみたいという外国の方が増えたように思います。また東南アジアからの旅行者も増え、来年以降の伸びも期待できますね。より世界中の方を相手にしていく必要がありますね。

Wi2 川西 哲平氏(以下、川西): 事業者目線では今年はインバウンドに関わる事業者は色んな手段を構築した年だったのではないかと思います。爆買いのようなキーワードがないがゆえに成功するための手段を模索した年だったのではないかと。

ゼロイン 木立 徹氏(以下、木立): 私は主に公共事業を担当しているのですが、あまり爆買いを意識はしていません。継続的に旅行者も増えていて、取り組む事業者も増えて順調に成長したと感じています。

川西: これまでのアジアターゲットから、欧米系と明確に変わってきた自治体や会社もありますよね。

ーなるほど、たしかに爆買いが落ち着いたこともあり「インバウンドビジネス=中国一辺倒」という公式から脱却しつつある年でしたね。

道越: そうですね。昨年と比べると参入業界や自治体も増え、皆さんの意識も高まって来たように感じます。

木立: デービットアトキンソンさんのJNTO顧問就任に代表されたりするように、何が本物かということがだんだん問われていく年になったと思います。2020年越えたらインバウンドなんかシュリンクするんじゃないみたいな、懐疑論者は減ったんじゃないですかね。

川西: 確かに。それはある気がしますね。

ー特に爆買い最盛期のころは『今のインバウンド市場は「バブル状態」だ』という論調が多かったイメージがありますね。

道越: そうですね。昨年は『インバウンドはオリンピックまででしょ』と色んな方に言われましたから、今年はそういう声は聞かなくなりましたね。

木立: それは爆買いで儲けたい業者と短期的なセールスを売り込みたい方の煽り文句みたいですよね(笑)

川西: 物凄い狭い世界での論調だと思いますよ。中国一辺倒という言葉もそうですが、世界を見据えたときに今のインバウンドはせいぜい訪日TOP10くらいしかみんな見てないですから。

ー皆さんは「インバウンド市場の成長=バブル」という論調についてはどのように思いますか?今後も、はてはオリンピック後も持続可能なビジネスだと思いますか?

道越: まだまだだと思います。伸びて来ている今が勝負。ここから受動的ではなく、戦略的にどう伸ばして、地方も含めた様々なところに世界中の人にどう来てもらえるかが、勝負です。オリンピックがゴールではないですが、一つの通過点として重要なポイントとなりますね。

木立: オリンピックについては、今から2020年までオリンピックなるイベントがやっているなら終わったらシュリンクします。ただ、今現在、日本に来ている外国人は間違いなくオリンピックのためにきておらず、純粋に日本観光を楽しんでますよ。

観光庁の調査によるとリピーターが半数超えていて、かつ9割以上の人は「また来たい」と回答しています。ここから導き出される答えは、オリンピック云々じゃなく、日本観光のポテンシャルがあるんだと思いますよ。ただ税金の投入具合でいえばバブルです(笑)

川西: JNTOも昨年末から今年にかけてモスクワやインドに拠点も作ってますよね。いま数千人/月くらいしかきていない市場もこれから開拓されていくわけですし。

道越: オリンピックまでに、最大限に日本のブランドを世界に発信し、フランスのように、継続的に観光客が来てくれる、観光立国になれるかが重要です。ですのでオリンピックは一つの通過点としてとても重要ですね。

ーやはり、オリンピック=通過点であるということがみなさんの総意ですね。

川西: まあ、その前にラグビーワールドカップっていう一大イベントがあることにみんな気づいてないですよね。オリンピックよりも受入大変なんじゃないかと思ってます。

道越: そうそう、そこも重要です。特に欧米の人たちには注目度高いので、たくさん来ると思います。日本の自治体はあまり気づいていないですが……

ラグビーワールドカップは、インバウンド業界のオリンピック前哨戦。ここで受け入れ体制が一気に進む。

ー川西さん、ラグビーワールドカップの受け入れが大変そうだと思うのはなぜでしょうか?

川西: まずはエリアが北は北海道から南は大分まで開催地が分散しています。そして期間がオリンピックよりも長く、欧米豪の方々が多く来日すると想定されますが、ベジタリアンやビーガンの対応って日本はハラールより遅れてるって言われてますよね。

オリンピックはインバウンド事業者全員の目線があっているので、その方向に向かって進んでおり理解もされやすいですが、ラグビーワールドカップはもしかしたらこの記事で知った!という人がいるかもしれない。オリンピックを意識している人たちは、イベントまでいきなり1年短くなるわけですからあと1年のうちに何ができる!?ってなると思うんですよ。その中でも特に食事に纏わる話は重要かなと思います。

ーそうですね、ハラール対応は最近になって事例をよく見かけますが、ベジタリアン・ビーガンはあまり聞かない印象です。そういう意味では、ラグビーワールドカップを足がけに受け入れ体制が一気に進む可能性もあるかもですね。

川西: そうですね!きっと2018年はインバウンド業界はこの話題が今以上に出てくると思ってます!

ーでは、2017年、最も効果の高かったインバウンド対策は何だったと思いますか?御社の取り組みなどを踏まえてお話いただければと思います

道越: この事業を始めてから150社以上の自治体や企業のインバウンドPRや集客に関わって来ました。成田空港さんや神戸市さんとは先進的な取り組みが色々とできたと思います。

特に効果が出たのは、facebookのターゲティング広告を使って、訪日前から日本に来る可能性が高そうな外国人や、今日本に旅行中の外国人にピンポイントで情報を発信したことで、予約や集客に繋がりました。

あとは今年できたこのインバウンドトライアングルチームでも、全国の自治体や企業さんから、たくさんの御引き合いをいただいているので、実績をもっと作って、来年は日本中に広めていきたいですね

木立: 複合的な取り組みが効果的でした。というのがWEBサイト単体をつくるとか、映像単体ではなく、映像やSNSやウェブを連動させたものは上手く行きました。

川西: 当社で言うと、訪日外国人のビックデータを活用した調査事業とプロモーションの連携ですね。外国人がどこからどこへ移動しているのかを統計的に把握することができるので、誘客したい店舗施設や観光地に関連したエリアにターゲティングを行うことで効率化と効果の最大化を図る仕掛けを作れたことです。

この一連の流れがインバウンドトライアングルですね(笑)

道越: ですね。

木立: 一番効果があったのは、秋田県です。 秋田県の事業でのキャンペーンをやったら驚きの効果でしたよ。調査は昨年度Wi2さんや別の会社がやったのですが、とりあえず「秋田犬は40倍の露出効果がある」ということがわかっていました。

「秋田犬は40倍の露出効果がある」というのは、海外でのSNS上の口コミを分析したら、「なまはげ」とか「田沢湖」の40倍の量「秋田犬」についてつぶやかれていたということがわかりました。

ただ「秋田犬」で海外のブラウザからgoogle検索や百度検索をすると、ペットショップのサイトしかでてこなくて「秋田犬」=「秋田県」という認識がない状態でした。これはちょうどマルチーズが地中海のマルタ島原産っていうのを知らないのと一緒の状態でした。

なので人気があるとわかった「秋田犬」というコンテンツを秋田県と結びつけるためのサイトを作り、プロモーションを打ったというところが成果につながりました。ターゲットの外国人に刺さるコンテンツをちゃんと調べて、ターゲットの外国人に刺さる方法でプロモーションしようというのがトライアングルの思想なので、台湾には一番響くラーチーゴーを使ったら話題になったということです。

ー似たような事例で和歌山県の「たま駅長」が思い出されますね。そういった意味でも、ユーザーが何を求めているかの分析と適切なプロモが成功要因だったということでしょうか。

木立: そうです。さらに、秋田県の観光コンテンツでは、地域のおばあちゃんときりたんぽを作る体験や、マタギ猟師体験の満足度が非常に高かったですね。なので旅行満足を分けて考える必要があると思ってます。

私は1番バッターと4番バッターと呼んでるんですが、話題作りの一番バッターは秋田犬、旅行満足の4番バッターは秋田の田舎体験という組み合わせです。

同じようなことは広島でいうと、欧米人は「平和公園にはいく」でも100円しか払わない。みたいな状況って1番バッターはいるけど4番バッターで満足してもらうコンテンツが足りないという状況だと思うんですよ。

「4番バッターになる観光資源」「内野安打を狙う観光資源」

ーということは、特に地方は1番バッターと4番バッターの発掘が重要ということでしょうか?いままでは単純に「観光資源を発掘しましょう」というノリでしたが目的別の発掘が必要そうですね

木立: それ以前に地域のインバウンドマーケティングを野球で例えると「勝つためにチーム組みますか?」「利害関係者の不満がでないチーム作りますか?」というのが大前提。そのうえ勝つ打線を組むために、旅行者が海外からわざわざ来たいと思える1番バッターや、日本に来てよかったとガツンと満足させる4番バッターを発掘する。どっちも地域にそうしたバッターがいないなら、すでに日本に来ている外国人をコバンザメ作戦で呼び込む、内野安打やバントが上手い2番バッターみたいな戦い方をする戦術が必要です。

ー”2番バッター”とは、例示するならどのような観光資源でしょうか?

木立: 城崎(豊岡)なんて京都と姫路に集まる外国人を呼び込む作戦が上手く行っています。内野にボール転がすイメージですね。ビヨンドさんがやっている飛騨高山にいる外国人に「奥飛騨」のSNSプロモーションするのも秀逸な作戦だと

道越: はい、すでにたくさん外国人が来ているスポットにターゲティングして、近くにこんなところもあるよと発信すると、集客に繋がりやすいです。

ーなるほど、以下に訪日客に地方を周遊させるか、その連携も「内野安打」として、今後重要になりそうですね

木立: Wi2さんの関西の百貨店さんへの集客もそのパターンで、海外にいる、日本に来るかこないかわからん人に相手するプロモーション予算をかけるよりは上手なやり方だと思います。全ての観光地が海外までボールを飛ばせるホームランバッターになれるか?というとわからないのです。(マーケターとしては、全ての観光地をホームランバッターにしたいですが)内野安打作戦をとった方が地域によっては経済的かもしれません。

2018年はインバウンド業界で『選択と集中』が起こる

ーでは、少々話題を変えて2018年、インバウンドはどのようになっていくとおもいますか?2018年のイベント・動向で特に注目しているものなどあれば、それらを踏まえて教えてください。

道越: 中華圏以外からの訪日旅行客も、もっと増えてくると思うし、オリンピックに向けて東南アジアや欧米などもターゲットにしていく必要があると思いますね。特に、日本政府(JNTO)は欧米豪を狙っていく方針だとのことなので、どういう動きをするのか注目しています。

川西: 僕は東南アジアですね。とくに先ほども話にちょっと出しましたがムスリム市場は巨大なマーケットです。インドネシアだけでも人口2億5千万人いますからね。いまマレーシア中心にムスリムが増えてきていますが、もっと増えてもおかしくないですね。

木立: 私は変わらず良いサービスは残り悪いサービスは淘汰されてくと思ってます。というのも効果測定ちゃんとやっていきましょう、って動きもでてくるのでそのあたりはシビアになってくるんじゃないでしょうか。

ー特に欧米豪の訪日客は”良いサービス”にシビアそうなので、淘汰はより強くなるかもですね。

木立: 今とある県とウェブ戦略の話してますが多言語サイトはつくらず繁体字のサイトだけつくろうってことになりました。選択と集中はみんな考え出すんじゃないでしょうかね。

川西: そうそう、2018年はまさに効果測定がどれだけできるか。そこが良いサービスとそうでないものの明確な線引きになりますよね。 木立さんの言うようにシビアになると予想してます。

ーとすると『選択と集中』が2018年のインバウンドビジネスのキーワードになりそうですね

木立: 色々とインバウンド予算がついている間に、ガチで「これをすれば欧米豪の旅行者が日本にくる!」ってのが見出せないと、どこかで予算縮小が起きたり、為替変動とか、外部環境の変化が起きた時に打ち手がなくなる印象はあります。PVや再生回数はお金で買えるけど、実送客への貢献を見てかないと

川西: 効果測定のKPIは業界や団体によってそれぞれでしょうけど、難しいのは国ごとに対策していく必要があるので、選択と集中してもターゲットが複数国に跨るのであれば、それぞれにやらないといけないところですね。

道越: そうですね、国内向けのプロモーションに強い会社さんでも、なかなか海外向けには上手くプロモーションできていない会社が多いと思います。ただインフルエンサーを呼べばいいとか、カッコいい動画を多額の予算をかけて作って、全く海外のターゲットに見られてない、とか。いかに、集客や効果に繋げられる施策を本気で取り組めるか、そういうパートナーと組むか、が重要になると思いますね。

また、今年からその傾向は出てきていますが、受け身の会社と、戦略的にプロモーションを仕掛けている会社で大きな差が来年からオリンピックにかけて大きくなってくると思います。しっかりターゲットをさだめて、確実にターゲットに自分たちのブランドを知ってもらい、コミュニケーションをとり、ファンになってもらう。地道にやる事が大事です。

あとは、日本が特に遅れている、キャッシュレス化ももっと進めるべきですね。

ー他、これからのインバウンドで重要になりそうなテーマや対策などありますか?

木立: 私は特にインバウンド界隈では誰も提示してない考え方ですが、バゲットリストが大事だと考えてます。これは欧米の旅行口コミでよく語られていて、欧米のクリエイターと映像を作るときにストーリーをつくる際のコアになるワードなんですが、別名『棺桶リスト』。要するに「死ぬまでにしたい10の事」みたいなやつです。

これが欧米の人の旅をする時の基準で、サムライの格好と着物をきて夕暮れの京都の街を歩いて見たいとか、秋葉原をマリカーの格好で練り歩いて見たいとか、アメリカが建国されるより前からやってる天ぷら屋で天ぷらを食ってやってみてぇなぁって思える旅を提案できているかってことだと思います。もちろんこれは日本に限定した話でなく、砂漠を見てみたいとか、カリブ海で夕焼けを見ながらラム酒を飲みたいとかも含まれます。

ー2015年代の「とにかく中国人の買い物リストに入るようにしよう」という戦略のコト消費版みたいな感じですね。

木立: 私たちも死ぬまでに、ウユニ塩湖の景色見たいとか、ラスベガスで一発当てて見たいとか、セーヌ川のほとりでデートして見たいとか、わざわざ高いお金をかけて海外に行くわけだから、一生の思い出になる旅をしたいみたいに思うじゃないですか。

川西: 僕は先程話した、受入環境整備で、特に食事ですね。よくHMJ(ハラールメディアジャパン)の守護さんが講演で話していますが、例えばムスリムの人たちって和牛に興味あるけどハラール対応してないから食べれないケースが多くあり、結果安全策でインドカレーなりを食べる。みたいなシーンが多々あるそうです。

それって事業者からするとものすごい機会損失ですし、数万円支払ってもらえたかもしれないものが、数百円になってるかもしれない、ってことですよね。

木立: 受け入れでいえば食事は同意。ビーガン、ベジタリアン、ハラルはとても大事ですね。

ー食って旅の楽しみの根源みたいなところありますからね。

川西: 旅行者目線では、食べれるものがない→旅行しにくい国。事業者目線では、機会損失。どちらも損しかしてないです。

木立: インド人には日本旅行であっても毎日カレーが必要とフリープラスさんが言っていました(笑)

川西: 和牛は極端な例ですけど、いまこのタイミングで食事だけでもかなり損失しているはずです。ムスリムの人はちゃんとハラール対応しているお店を事前に調べていて、当社の訪日外国人ビックデータから動きを見てもそのような傾向が窺えます。よって、しっかり情報公開しつつPRすることで物凄いチャンスになりますよね。

木立: まあ海外で飯が不味いというか合わないと辛いですよね。

川西: そもそも食べれないですからね。

そろそろ訪日外国人の「人数」を指標にするのはやめたほうが良いかもしれない 〜『台湾限界説』〜

木立: あっあと、一言加えたいのが『台湾限界説』です。そろそろ台湾人口の絶対数を考えると増やすのはどこかで限界が来るんじゃないかと。というのは個人的に危機感ですね。レンタカー旅行とか積極的に新しい旅の楽しみ方を訴求してかないと、どの自治体も狙ってるぶん、同じことをみんながやってるといつか頭打ちになってしまいます。これは悲観というよりも、台湾の人にもっと日本を楽しんでもらって、地方のインバウンドのトレンドを引っ張ってほしいと思っているのでもっと戦略的に取り組んでほしいという願いです。

道越: 台湾に関しては、リピーターを増やして継続的にきてもらうことと、もっと地方などにも行ってもらうようなPRが必要ですよね!

ーつまり、台湾市場を狙うなら、数を増やすより、旅行の質を挙げてもらう、ということですね

木立: そうそう、やり方考えて何回も日本に来てもらおうということです。ハワイ観光局は観光目標をKPIを人数から消費額に変えて成功したという事例もありますしね。

ーそれが結果的に消費として落ち、また地方創生にも役立つと

道越: そうですね!

川西: 日本のトレンドリーダーって台湾と香港ですもんね。それは間違いないですね。

木立: あと、台湾限界説を考えるとタイやベトナム、東南アジアに、軸を絞る自治体もでてきてほしいです。台湾人一本足打法だと、万が一台湾に不況が来たら、2020年地方7,000万人泊の実現が遠のきます。

ーでは、最後に2018年に向けた御社の取り組み、コメントや意気込みをどうぞ

道越: 私たちも、今はSNSを使った地方や日本企業の情報発信事業がメインですが、今後は、より外国の方が日本を楽しんでもらえる、そして企業と外国人をマッチングするメディアの立ち上げを企画しています。私たちの集客力やPRノウハウを活かして、世界中のユーザーを抱え、日本全国の方に使っていただけるようなメディアをオリンピックに向けて作っていきたいですね。

あとは、このインバウンドトライアングルチームで長年取り組んで来たノウハウを活かして地方や日本中の企業や地方のインバウンドプロモーションの お手伝いを、効果にこだわって本気で取り組んでいきたいと思います!日本を観光立国に!

木立: 日本の事が好きな外国人に、外国人に来てもらいたい自治体や企業をマッチングできるよう、もっと効果の出るインバウンドマーケティングをやっていきたいです。

新規性が高いし変化も速い市場だから誰も答えを持ってない段階だと思います。成功も失敗もナレッジを共有しながら、世界中の観光地から日本が選ばれるようにチャレンジしていきたいです。

川西: これから訪日する方の国籍だったり嗜好が多様化する中受入側は求められるニーズが広がってきて、これまで以上にやらないといけないことが増えてくると思っています。我々はこれらに対応するため、定性・定量調査を行うことでしっかりとマーケティングをし、外国人目線を入れて行うプロモーションまで実施できるソリューションとしてインバウンドトライアングルをつくりました。2018年はこの取組みを軸に少しでも日本のインバウンドに貢献できればと考えています。

インタビュイー紹介

株式会社BEYOND 道越 万由子氏

SNSマーケティング・インバウンドマーケティングプロデューサー、株式会社BEYOND代表取締役、社団法人JIFインバウンド連合会 理事、神戸山手大学 ゲスト講師
新卒から10年以上IT業界でWEBマーケティングに従事し、インバウンドPR・集客プロデューサーとして活躍。株式会社オプトでSEMコンサルタント、トレンダーズ株式会社にてPRプランナー、ベンチャーにてECコンサルタントを経て、2015年より、海外・SNSマーケティング事業を立上げ、自治体や大手企業の海外マーケティングの運営やインバウンド集客の!00社以上のプロデュースに携わる。2016年9月に、インバウンドPRに特化したマーケティング会社である株式会社BEYONDを設立し、代表取締役に就任。また、現在は日本のインバウンドをSNSで盛り上げるため、社団法人JIF日本インバウンド連合会の理事なども務め、全国の自治体や企業向けにも多数講演を実施。

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<道越氏の訪日ラボ連載はこちらから>

株式会社BEYOND の執筆記事一覧 ページ1

株式会社BEYOND 代表取締役兼SNSマーケティング・インバウドマーケティングプロデューサー、道越 万由子。新卒から10年以上IT業界でWEBマーケティングに従事し、インバウンドPR・SNSマーケティングプロデューサーとして活躍。2015年より、海外・SNSマーケティング事業を立ち上げ、自治体や大手企業の海外マーケティングの運営やインバウンド集客の100社以上のプロデュースに携わる。また、現在は日本のインバウンドをSNSで盛り上げるため社団法人JIF日本インバウンド連合会の理事なども務め...

株式会社ゼロイン 木立 徹氏

東京観光財団、台東区、秋田県、山形県、愛媛県、八ヶ岳観光圏など自治体インバウンドマーケティングプロジェクトに関わる。在日外国人800人のネットワークによるマーケティングとクリエイティブが得意です。

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株式会社ワイヤ・アンド・ワイヤレス 川西 哲平氏

新卒からIT・通信業界にてインフラの営業からモバイルコンテンツのアライアンス等を担当、現在ワイヤ・アンド・ワイヤレスでWi-Fiの接続データ等を利用した外国人の動態データと位置情報を利用した広告の営業/アライアンス担当。外国人旅行者の移動動態データに基づくビッグデータ事例のセミナー等も行う。

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Wi - Fi+GPS情報で高精度なインバウンド動態分析が可能!「TRAVEL JAPAN Wi

昨月観光庁より発表された「訪日外国人消費動向調査」によれば、2017年の4-6月期でインバウンド市場全体の消費額が四半期で過去最高の1兆776億円となりました。また、2017年上半期の累計では、前年同期比8.6%増で初めて2兆円を突破する快挙を遂げました。また、インバウンド消費と同時に訪日外客数の伸びも好調で、2017年上半期だけでも約1,376万人の訪日外国人観光客が日本を訪れています。このように、インバウンド市場が拡大を続けるなかで「次の一手」を考えるために非常に重要なのがビッグデータ...

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訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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