訪日外国人消費動向調査によると、新型コロナウイルスにおける観光業への影響がほとんどなかった2019年、訪日外国人の旅行消費額は4兆8,135億円だと推計されます。
そして、そのうち36.8%を占める1兆7,704億円を訪日中国人が占めています。新型コロナウイルスの問題が収まり、入国制限や行動制限が緩和されれば、また多くの中国人が日本を訪れることが期待されます。
この記事では、訪日中国人を呼び込むためのSNSを6つ紹介します。
インバウンド再開後、多くの訪日中国人をビジネスに取り入れられる準備をしておきましょう。
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中国では有名SNSが使えない
中国では「グレートファイアウォール(金盾)」と呼ばれるインターネット検閲システムによって、さまざまなSNSやWebサイトへのアクセスが制限されています。
よって、他の国では使えるSNSが中国では使えない場合もあるのです。
ここでは中国のインターネット制限の理由と、その詳細について紹介します。
関連記事:グレートファイアウォールとは?中国のネット規制・回避方法・インバウンドでの対策についても解説
中国で使えないSNS
中国では、以下のようなSNSの利用ができません。- LINE
- YouTube
以上に挙げた以外にも、さまざまなWebサイトやサービスが利用できなくなっています。
中国で有名SNSが使えない理由
中国で有名SNSやWebサイトが利用できない理由は、以下の2つだといわれています。- 中国政府にとって不利な情報を規制するため
- 中国国内のIT市場を保護し、成長させるため
アメリカとカナダの4大学で構成された研究チームの発表によれば、グレートファイアウォールによって最も多くブロックされているWebサイトカテゴリは「ビジネス」であることがわかりました。
それに次いで「ポルノ」があり、3番目に多くブロックされているのが「IT」です。
中国で使われているSNS6選
中国ではグレートファイアウォールによってアクセスできるWebサイトが制限されているため、TwitterやInstagram、Facebookなどの有名SNSを利用できません。しかし、世界のWebサイトから遮断された結果、中国は独自の成長を遂げました。
実際、中国の検索エンジンシェアNo. 1の「百度(Baidu/バイドゥ)」は、世界でもGoogleに続いてシェアNo.2を誇っています。
ここでは、そんな独自の進化を遂げた中国のSNSを6つ紹介します。
訪日中国人をより多く自社のビジネスに取り入れるためには、これらのSNSを駆使してアプローチを行っていく必要があります。
1. Weibo(ウェイボー/微博)
Weiboは、日本では「中国版Twitter」や「中国版Facebook」と呼ばれるSNSです。ユーザー数は全世界8億人であり、デイリーアクティブユーザーは2.03億人と言われています。
男女のユーザー比率が50%ずつでバランスがいいことに加えて、17〜33歳という消費意欲が高いユーザー、高所得のユーザーが多く利用しているため、ビジネス活用に向いているSNSといえるでしょう。
関連記事:Weiboとは?概要、登録方法、人気芸能人、デメリットを網羅
2. WeChat(ウィーチャット/微信)
WeChatは、「中国版LINE」と呼ばれるSNSです。
月間アクティブユーザー数が10億人を超えるほど、人々の日常に溶け込んでいます。
ターゲットとクローズドな状態で1対1のアプローチができるのが魅力で、公式LINEやメルマガと同じような使い方でマーケティングに役立つことでしょう。
関連記事:WeChat(微信/Weixin)とは?機能や登録方法、広告出稿をまとめて解説
3. 小紅書(Xiaohongshu/RED)
小紅書は、「中国版Instagram」と呼ばれるSNSです。さらに、投稿にリンクを貼ることでECサイトへ遷移させられることから「Amazon」のような側面も持ち合わせているといえます。ユーザー数は3億人ほどで、若い女性がメインユーザーであるとわかっています。
EC事業だけでなく、観光事業においてもインフルエンサーやKOLを起用してビジュアル面から観光地をアピールすれば高い効果が見込めるでしょう。
関連記事:RED(小紅書)は中国で若い女性に人気のSNS 特徴と企業事例も紹介
4. 抖音(Douyin/TikTok)
抖音は、全世界において「TikTok」という名前で大ヒットしているSNSです。
2021年9月には「月間アクティブユーザー数が10億人を突破した」と発表しており、ショート動画がメインコンテンツのSNSとして着実に人々の生活に定着してきています。
独自のアルゴリズムによって、適切なターゲットに動画が届くことをうまくビジネス利用できれば、大きなチャンスを作り出せるSNSです。
関連記事:中国版TikTokの抖音(ドウイン)とは?ショートムービーアプリの魅力
5. bilibili(ビリビリ動画/哔哩哔哩)
bilibiliは、「中国版YouTube」と呼ばれているSNSです。また、コメントが横から流れる様子から「中国版ニコニコ動画」と呼ばれることもあります。
2021年8月の時点での月間アクティブユーザー数は2億人を超えており、特に1990年代後半〜2000年代生まれである「Z世代」を中心に盛り上がりを見せています。
抖音とは違って長尺の動画にも対応しているので、時間をかけてビジュアルを伝えることに長けており、企業のブランディングなどにも適しています。
関連記事:bilibili動画(bilibili)を日本で視聴する方法は?展開するコンテンツも紹介
6. 快手(Kuaishou/Kwai/Snack Video)
快手は、南米において「Kwai」、南アジアにおいて「Snack Video」という名前で利用されているショートビデオSNSです。
抖音の競合にあたるSNSであり、快手の月間アクティブユーザー数は「Kwai」や「Snack Video」を合計すると10億人を超えるなど、熾烈なユーザー数競争を繰り広げています。
しかし、快手は抖音と違って地方都市や農村部に住む人々をターゲットとしているとされ、「違う層を狙っているから競合にあたらない」という意見もあります。
関連記事:快手とは?TikTokのライバル・動画プロモーションの事例も紹介
中国でSNSマーケティングを成功させるためには?
中国でのSNSマーケティングを成功させるには、中国に適した方法が必要になります。とはいえ、いくらインバウンドの担当者やマーケターだとしても「中国人にアプローチするためにはどうしたらいいんだ」と頭を悩ませることでしょう。
ここでは、中国でSNSマーケティングを成功させるために意識すべき5つのポイントを紹介します。
中国人の特性を理解する
中国人向けにマーケティングするなら、中国人の特性を理解すべきです。
全員がそうだというわけではありませんが、中国人は一般的に猜疑心が強く、直接的に物事を伝えることを好む傾向にあるとされています。
つまり、中国人に対してマーケティングする際には「商品やサービスのクオリティを証明する」「婉曲表現を使わない」ということが大事です。
中国で使われているSNSを活用する
中国人にアプローチするのに、TwitterやInstagramを使っていても意味がありません。
なぜなら、中国ではグレートファイアウォールというインターネット検閲システムによってTwitterやInstagramなどのSNSが利用できないから。
中国でSNSマーケティングを成功させるには、中国で利用されているSNSを活用しましょう。
翻訳はネイティブに頼む
どの言語を取り扱う際にもいえることですが、すでにある日本語を翻訳する場合にはGoogle翻訳などの自動翻訳システムを利用せず、ネイティブに翻訳を依頼しましょう。
自動翻訳システムを利用すると、日本語から他言語に翻訳する際に表現が堅苦しくなったり、ニュアンスが変わって表現されたりする可能性があります。
口コミを活用する
中国人をターゲットとしたマーケティングにおいては「口コミが大事だ」とよくいわれています。
中国では玉石混交の情報が入り乱れており、メディアや店からの情報などよりは、親戚・知り合い、或いは自分と利害関係のない他の人からの中立的・客観的な視点からの情
報・口コミなどを信頼・重視する傾向があるためです。中国のインフルエンサーやKOLを起用するのも方法の一つです。
関連記事:中国インフルエンサー「KOL」とは:基礎知識から現地のプロモーション事例までを紹介
キャッシュレスをアピールする
中国のキャッシュレス決済比率は80%近いといわれています。対して、日本のキャッシュレス決済比率は2020年で29.7%だと消費者庁が発表しています。
この差は、訪日中国人にとって「買い物のしにくさ」を感じる要因となるでしょう。
そんな日本の現状のなか、キャッシュレスに対応していることをアピールすれば、キャッシュレス非対応の競合と差をつけられるでしょう。
SNSを通じて、訪日中国人を取り入れよう
新型コロナウイルスの影響により、2021年の訪日外国人数は過去最低を記録しました。
しかし、ワクチン3回目接種が普及すればインバウンドが再開するのではという見方もあります。
そんなインバウンド再開に向けて、対策を考えるなら中国人をターゲットとするのがいいでしょう。2019年では全訪日外国人のうち中国人が最も日本国内での消費をしたことがわかっています。
現在中国国内にいる見込み客にアプローチするなら、積極的なアプローチができるSNSが最適です。
中国で使われているSNSを駆使して、インバウンド再開に助走をつけましょう。
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