4月13日より、ついに「大阪・関西万博」が開幕しました。万博には国内外から多くの観光客が来場することが見込まれており、インバウンド業界にとっても非常に重要なイベントです。
本記事では、大阪万博についての基本的な知識に触れたあと、インバウンドにおいて特に重要なトピックを紹介します。
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そもそも大阪万博とは?
万博は、正式には「国際博覧会」といい、世界中からたくさんの人やモノが集まるイベントです。
日本で初めて開催された万博は、1970年の大阪万博で、シンボルとして「太陽の塔」が建設されました。そのほかにも、過去には沖縄や筑波、愛知などでも開催されました。
そして2025年4月13日~10月13日の184日間、大阪・夢洲(ゆめしま)で、「大阪・関西万博」が開催されています。
会期中は2,820万人が来場と予想 海外からは350万人
今回の万博のテーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」。人類共通の課題解決に向けて、先端技術など世界の英知を集め、新たなアイデアを創造・発信する場にするとしています。
万博の予想来場者は約2,820万人で、そのうち約350万人(12%)が海外からの来場者と予想されています。
一方、2024年に大阪を訪れた外国人観光客数は1,400万人以上、月平均にすると120万人を超えます。万博の開催期間は、それに約50万人が上乗せされる想定となります。
関連記事:大阪万博の来場者数は?海外からは「350万人」と予想、残された課題と対策とは
経済効果は関西以外にも波及
一般財団法人 アジア太平洋研究所が出した試算によると、万博の開催場所である夢洲会場のみの経済波及効果は、2兆7,457億円になると試算されています。
これに加えて万博や周辺のイベントにより宿泊数が増加すると想定した場合、経済波及効果は3兆2,384億円になると見込んでいます。さらに、日帰り客の増加を加えた経済波及効果は、3兆3,667億円と予測されます。
また、万博に来場する訪日外国人が「万博以外の観光により周辺地域にどの程度の経済効果をもたらすのか」を推計したJTB総合研究所のデータによると、各都道府県の生産誘発額の合計は約3,598.9億円、通常時の観光消費額に対する経済波及効果倍率は約1.30倍と推計されています。
関西地区では京都、奈良、兵庫、和歌山の順番で影響が大きくなるとされているほか、東京、愛知、静岡、山梨、神奈川などにも波及効果があると考えられています。
関連記事:大阪万博まであと半年!「インバウンド先進地域」関西エリアの最新動向【セミナーレポート】
万博にはどの国・地域の訪日客が来る?
万博には158か国・地域、7国際機関(2025年2月13日時点)が参加予定のため、これまでほとんど訪日していなかった国からも観光客が来る可能性があります。
日本政府観光局(JNTO)は、中国や台湾を中心としたアジア各市場、米国、イタリア、ドイツ、中東を中心にプロモーションを実施するとしており、これらの国・地域からの訪日客が多くなる可能性もありそうです。
<参照>
EXPO 2025 大阪・関西万博公式Webサイト:大阪・関西万博に参加表明のあった国・地域、国際機関が更新されました
訪日客が来場しやすい体制は整っている?
万博では、国内外からたくさんの観光客が訪れてもらえるよう、さまざまな取り組みが推進されています。
当日券の販売決定 訪日客の来場増につながるか
2月25日、大阪・関西万博公式Webサイトにおいて、万博チケットの当日券を販売することが発表されました。
万博のチケット販売については、大阪府の吉村知事が2月5日に要望書を提出しており、石破総理大臣がそれに応えた形になります。
来場当日においても、来場日の枠に空きがある場合は、会場の入場ゲート前案内所において、紙の当日チケットが販売されます。
こうした対応により、万博とは別の目的で訪日した外国人旅行者などが、当日に思い立って来場するなどの需要も増えると考えられます。
関連記事:大阪万博、当日券販売へ チケット購入の簡易化や通期パス割引も
会場で使える多言語翻訳アプリ 30言語に対応
TOPPANホールディングス株式会社は、1月29日から、万博の来場者やスタッフが使用できる多言語翻訳アプリ「EXPOホンヤク™」の提供を開始しました。同アプリは、App Store、Google Playにて提供されており、スマートフォンなどの端末にインストールすることで無料で使用できます。
対応言語数は30言語で、英語、中国語(繁体字/簡体字)、韓国語などの13言語は、音声翻訳およびテキスト翻訳の対応(音声出力可)が可能です。
また、日本館や大屋根リング、静けさの森など、万博関連の地名や会場名称などの専門用語が約1,200語掲載されています。
関連記事:万博来場者・スタッフが使用できる多言語翻訳アプリ、TOPPANホールディングスが提供開始
交通機関での受け入れ整備も進む
多くの人が万博会場に訪れることが見込まれる中、来場者をいかにスムーズに運搬するかが重要となってきます。ここでは、交通機関などの動向をピックアップしてご紹介します。
ライドシェア、大阪全域で24時間利用可能に
12月19日に「第2回万博開催期間中における日本版ライドシェア勉強会」が開催され、万博の開催期間中、日本版ライドシェアの運行エリアが大阪府内全域に拡大することが決定しました。
万博には国内外から多くの来訪者が見込まれるため、24時間稼働可能な状態とし、来訪者や住民の移動の足を確保します。
関連記事:万博期間のライドシェア、大阪府全域で24時間可能に
各社で列車を増発
JR西日本とJR東海は、ダイヤ改正を2025年3月15日に実施すると発表しました。
JR西日本では、万博に向けたアクセス強化として、新大阪駅から桜島駅まで直通する「エキスポライナー」を設定。桜島駅からは、駅シャトルバスで万博会場まで結びます。また、大阪環状線では朝と夜、JRゆめ咲線では夜に増発するほか、阪和線では朝に増発し、万博までのアクセスに便利な列車を増やします。
山陽新幹線では、新大阪駅9時台に到着する鹿児島中央駅始発の臨時「さくら」を増設。鹿児島中央駅始発の定期「みずほ」よりも早く発車する臨時列車を設定することで、鹿児島中央駅から新大阪駅へ、初めて9時台に到着できるようになります。
JR東海では、万博開催期間の週末などに、6時台東京発・新大阪行きの「のぞみ」を臨時で増設し、最大14本運転します。また、下りの最終時間帯の利用が多い日には、東京発・新大阪行の臨時「のぞみ」を1本増設します。
また、大阪メトロでは、万博開催期間中、3種類の増発ダイヤを設定。2分30秒間隔で運行する時間帯を拡大した3種類の増発ダイヤを追加し、平日は5パターン、土日休日は6パターンで運行します。
<参照>Osaka Metro:2025年4月に大阪・関西万博の開催に向けOsaka Metro ニュートラムの増発ダイヤを追加設定します
神戸空港、国際チャーター便の受け入れ開始
神戸空港は、万博の開催に伴う航空需要増に対応すべく、4月18日に第2ターミナルビルをオープンし、国際チャーター便の受け入れを開始します。
2月18日時点で就航計画を表明している航空会社は以下の通りです。
- 韓国:大韓航空(仁川)
- 中国:吉祥航空(上海、南京)
- 台湾:スターラックス航空(台北/台中)、エバー航空(台北)
関連記事:大韓航空、神戸〜仁川(ソウル)に就航 4/18から
多言語対応や手荷物預かり強化も進む
そのほかにも、各交通機関において、万博来場者の受け入れ対応が進んでいます。
JR西日本は、忘れ物チャットボットの多言語対応サービスを開始しました。英語、中国語(繁体字/簡体字)、韓国語での対応が可能で、9時から20時までの営業時間内はオペレーターによるチャット対応も実施し、リアルタイムで翻訳しながらサポートします。
その他にも、開催期間中、大阪駅や新大阪駅、関西空港駅において、手荷物預かり機能の強化を行います。
また阪急電鉄は、リアルタイム音声認識システムを活用した、ディスプレイによる案内サービスを大阪梅田駅に本格導入しました。対応しているのは、日本語や英語、中国語(簡体字)、韓国語など27か国の言語です。
関連記事:
- JR西日本、忘れ物チャットボットの多言語対応サービスを開始
- JR西日本、万博期間に手荷物預かりサービス「Crosta関空」関西空港駅で実施
- JR西日本、万博来場者の混雑緩和に向け手荷物預かり機能強化
-
大阪梅田駅にリアルタイム音声認識システム導入 万博に向け27か国語に対応
万博から地方誘客へ 全国を盛り上げる取り組みも
多様な国・地域からの訪日が見込まれるタイミングだからこそ、関西だけでなく、日本全国をPRすることが重要です。
万博を主催する日本国際博覧会協会を筆頭に、会期中に訪れた外国人旅行者に対して、全国に足を運んでもらうための取り組みも行われています。
訪日客を全国へ 体験商品の販売を推進
万博を主催する公益社団法人 2025年日本国際博覧会協会は、「Expo 2025 Official Experiential Travel Guides」を開設。
インバウンドをはじめとした国内外の万博来場予定者に対して、全国各地への周遊促進を目的に、地域の魅力紹介や、万博のテーマと親和性が高い体験商品を掲載しています。
また、日本政府観光局(JNTO)の特設ページでは、北海道から沖縄までの8地域で、観光体験を紹介するプロモーション動画を掲載。関西圏のみならず、全国各地への周遊促進となるようなコンテンツを強化しています。
関連記事:
JALとJTB、英語ガイド付き伊丹空港発のツアーを販売
株式会社JTBと日本航空株式会社(JAL)、株式会社ジェイエア(J-AIR)、日本エアコミューター株式会社(JAC)の4社は、都市部に集中する訪日外国人を日本各地に誘客し、地域活性化を促進させる共創プロジェクトに取り組むと発表しました。
第一弾として、万博を訪れる訪日外国人をターゲットに、大阪伊丹空港発着の国内地方路線を利用するツアーを販売しています。
大阪伊丹空港から九州・中国・東北方面へ向かう3つのツアーが用意されており、全行程で英語ガイドがツアーに同行します。
関連記事:JALとJTB、万博を契機にインバウンドの地方周遊を促進 国内地方路線を活用
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