地方自治体はどうやってWEB・メディアをインバウンドに活用すべきなのか?
インバウンド市場が盛り上がる中で、地方自治体がWEB・メディアによってインバウンドで成功する事例が増加しています。このページでは、地方自治体のWEB・メディアのインバウンド対策やインバウンド集客における活用について、次の3つの事例を取り上げます。
- 地方自治体×WEB・メディア事例その①:高知県は多言語インバウンド向けメディア「Visit Kochi Japan」を2015年からリリース
- まず1つ目は、高知県の外国人向け観光情報サイト「Visit Kochi Japan」の事例です。高知県の魅力を海外向けに情報発信を強化するために、2016年から高知県観光コンベンション協会の企画・運営のもと立ち上がりました。訪日外国人に向けて行っているWEBを活用した事例を紹介いたします。
- 地方自治体×WEB・メディア事例その②:国ごとに情報やサイト名をローカライズしている「さわやか信州旅.net」
- 2つ目は訪日外国人に人気の高い観光地である長野県の公式観光サイト「さわやか信州旅.net」の事例。ターゲット国ごとにサイトを作り分けている長野県の事例をご紹介。
- 地方自治体×WEB・メディア事例その③:訪日外国人目線で作られたWEBサイト「うどん県旅ネット」
- 3つ目は「うどん県」として売り出している香川県の「うどん県旅ネット」のWEBサイトの事例です。うどん県というユニークな発信をWEBを活用して行っています。
近年プロモーションの方法としてWEB・メディアがポピュラーになってきています。WEB・メディアによるインバウンド対策やインバウンド集客のメリットとしては、多くの情報を伝えながらも、顧客のイメージに残りやすいということがあります。伝えたい情報を写真や画像などよりも一度に多く発信できるためその分それぞれの地方自治体の色がはっきりと出やすく、工夫を凝らしたWEB・メディアが求められています。
ここでは、地方自治体という業界・業種におけるWEB・メディアの各社の事例を元にして、効果的なWEB・メディアを活用したインバウンド対策やインバウンド集客のケーススタディーをしてみます。それでは見ていきましょう。
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「多言語サイト制作」の資料を無料でダウンロードする「サイト多言語化ツール」の資料を無料でダウンロードする「サイト改善・コンサルティング」の資料を無料でダウンロードする高知県は多言語インバウンド向けメディア「Visit Kochi Japan」を2015年からリリース
訪日外国人訪問率や訪問数、インバウンド宿泊人泊数など全国的にみてもかなりインバウンド需要が小さいことがうかがえる高知県。しかし、2016年初頭から運用を始めた観光情報WEBサイト&Facebookページ「Visit Kochi Japan」が好調です。
「Visit Kochi Japan」2015年9月からリリースされた、高知県の外国人向け観光情報サイトです。インバウンド市場が盛り上がりを見せる中、高知県はまだ知名度が低いという現状があります。そこで、高知県の魅力を海外向けに情報発信を強化するために、高知県観光コンベンション協会の企画・運営のもと立ち上がりました。
「Visit Kochi Japan」のWEBサイトでは、代表的な観光資源や着地での便利な情報など、県内の代表的な観光資源を網羅的に掲載しています。まず「Visit Kochi Japan」を立ち上げるにあたり、国や地域ごとの観光ニーズを把握するために、各言語圏のネイティブスピーカーへの調査を実施しました。
メインターゲットとなる中国・韓国・台湾・シンガポールの人々にインターネットを用いた定量調査、そしてタイを加えた7名に対面インタビュー形式で定性調査を行ったとのこと。ヒアリング調査のデータをもとにして、それぞれの言語のページのトップには、その国で人気の高かった観光資源をそれぞれ掲載。観光資源のカテゴリ分けや個別のコンテンツの選定をしました。
サイトのリリース後は、1つの言語のページごとにアクセス数の多い観光資源が、自動的にトップページに配置されるような機能改修を実施。このようにターゲット国を選定し、徹底的なヒアリングから、刺さる切り口を見つけ出し、WEBを活用して「Visit Kochi Japan」は情報を配信しています。
まとめると、実際にヒアリングをすることで訪日外国人のナマのデータを手に入れる、県が伝えたいものと、訪日外国人のニーズのギャップを把握、WEBを活用して情報発信。このような流れが「Visit Kochi Japan」を通して学ぶことができるでしょう。
国ごとに情報やサイト名をローカライズしている「さわやか信州旅.net」
長野県はスキーリゾートなどの観光資源が豊富なことから、全体的にインバウンド誘致は比較的進んでいる県だといえます。外国人観光案内所の整備や案内表示の英語対応などのインバウンド対策も進んでいます。
特にオーストラリア・台湾からの訪日外国人からの人気が高く、オーストラリアに至っては訪問率17.1%となっており、スキーリゾートしての人気の高さがうかがえます。
さて、そんな長野県ですが、公式観光サイト「さわやか信州旅.net」というWEBサイト運営しており、その事例をご紹介いたします。
まず最初に気がつくのがサイト名の違い。日本語では長野というキーワードは使用せず、【さわやか信州旅.net】という名称で【信州】というキーワードを全面に出しています。
これは長野という県単位で説明するよりも、日本人にとっては北信濃、日本アルプス、東信州、諏訪、木曽路、伊那路が集まった信州という名称で呼んだほうが馴染みが深いためでしょう。
一方英語サイトを見ると【Go!NAGANO】というサイト名となっており、細かい地域名称を表示せずにすべてのエリアを総称してNAGANOという観光地なのだということがわかりやすくなっています。
【Go!NAGANO】を始めとする外国語ページ(英語、中国 简体中文、中國 繁體中文、ハングル、タイ語、インドネシア語)の場合、宇宙から見た日本から長野県にズームするという演出があり、まず視覚的に長野が日本のどこにあるのかがわかりやすくなっています。
演出後のトップページは画像が多く、地獄谷で温泉につかる猿、白馬スキー場、立山黒部ルートなど、長野に何があるかについて詳しくない訪日外国人に向けて、視覚的に何があるのかをわかりやすく伝える作りとなっています。
このように対象とする国ごとに情報を入れ替えています。見る人が違えば情報を変えるということはインバウンド対策をする上で非常に重要なことです。みなさんもWEBサイトを作成する時は、ターゲットがどのような情報を望んでいるのかを正しく把握して情報発信して行きましょう。
訪日外国人目線で作られたWEBサイト「うどん県旅ネット」
訪日外国人訪問率や訪問者数、インバウンド宿泊人泊数においては、ほぼジャスト中央値となっている香川県のインバウンド需要。
中国・四国地方では広島に次ぐインバウンド需要を持っているエリアであり、同地方他県と比較しても「うどん」「瀬戸内の自然」といった、わかりやすい観光資源を有していることからも納得の順位と言えるでしょう。
さて、今回ご紹介する事例が、香川県の「うどん県旅ネット」のWEBサイトです。
「うどん県旅ネット」は訪日外国人目線でWEBサイトを作成し運用しています。その事例をお伝えします。
「うどん県旅ネット」ホームページの外国語版サイトの大きな特徴といえるのが、観光名所がどこなのかわかりやすいということ、そしてこうした観光名所の魅力をアピールするための写真が非常に大きく、さらに写真の数が充実していることです。
せっかくの観光PRのためのサイトなのに、写真が小さく解像度が低いというのは、古い作りの地方自治体や観光協会のホームページにありがちです。しかしながら「うどん県旅ネット」では、インパクトのある大きな写真で観光PRをしています。
またGoogleマップをホームページに埋め込むことで非常にわかりやすくまとまっています。さらに、各名所の詳細からは、より詳しい英語のPDF資料がダウンロードできるようになっています。
他にも、各案内ページでは旅行に関する口コミサイトである「TripAdvisor(トリップアドバイザー)」へのリンクが付いています。
例えば栗林公園のページからは「TripAdvisor(トリップアドバイザー)」上にある栗林公園の口コミページへのリンクが付いており、屋島に関しては屋島の口コミページへ、香川の説明ページからは、TripAdvisor(トリップアドバイザー)上の香川県全体の説明ページへとリンクしています。
実際に香川県に興味を持った訪日外国人が、すぐに気になった情報を口コミサイトで確認できるというのは非常に便利ですし、利用者の目線をしっかりと意識した作りだと言えます。
このように、訪日外国人目線に立ってWEBサイトを作り込み、情報を更新していくことが、インバウンド対策をする上で非常に重要です。