コロナ禍で変化した中国人の「反日」イメージ:リベンジ消費に備えてとるべき対策とは

公開日:2020年07月28日

中国と日本の間には、一概に好き嫌いでは分けられない複雑な歴史的な事情があります。

一方で、新型コロナウイルスの流行以前である2019年までは訪日外国人観光客の中でも中国人がもっとも多く、観光地は中国人であふれていました。

特に若者の間では対日イメージは悪くなく、安全な国として留学生も多く来ています。

現在中国人はどのような印象を日本に抱いているのか、今後どのようなアプローチで中国人のビジネスを獲得していくべきかを考えます。

訪日中国人観光客の特徴

'爆買い'という流行語が現れるほどに存在感を放っている訪日中国人観光客。日本国内でも大きな注目が集まっており、彼らに関するニュースやコラムを目にする機会は少なくありません。

中国人の訪日意欲は?各種アンケートデータから、コロナ禍の関心事、アフターコロナに向けた対策を紹介

新型コロナウイルスの影響により外出に制限がかかっていた中国では、旅行に行けなかったという事情もあり、訪日意欲が高まっています。中国人が行きたい国を調査した統計によると、日本が1位にランクインしており、そのなかでも訪日中国人にもっとも人気となっている都道府県は北海道であることが明らかになっています。「日本インバウンド・メディア・コンソーシアム」が実施した調査では、日本および中国政府が安全宣言を出した時期に日本を訪れたいという意見がもっとも多くなり、その時期を見越した訪日中国人に対するアフター...


中国人の訪日への感情

領土問題や歴史的な背景などから、中国人の中には反日感情を持つ人も少なくないのが現状です。

実際中国のネットユーザーのコメントには、日中戦争や尖閣諸島問題といった歴史的背景から、中国人の中には日本に対して「侵略者」としての感情を持つ人も多く見受けられます。

過去にも政治的な摩擦が起こり日中関係が悪化した際、日本製品の排斥運動やデモが起こっている映像をニュースで目にしたことがある人も多いのではないでしょうか。

その一方で、訪日外国人観光客中で中国人が一番多いなど、日本を訪れたいと思っている中国人も数多くいます。

反日が取り沙汰される一方で、日本に一番多くきていた中国人観光客

反日感情を持つ人がいる一方で、2014年から2019年までの5年間の訪日中国人観光客数は伸び続けました。

日本政府観光局(JNTO)によると、中国人観光客数は2014年から2019年までの5年間で4倍近くまで増加しました。

2014年の訪日中国人観光客数は240万9,158人でしたが、5年後の2019年には959万4,394人を記録するまでになりました。

中国からは留学生も多くきている

独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)の調べによると、日本の大学、短期大学、専修学校や日本の大学に入学するための準備をする教育機関などに在籍する中国人留学生の数は令和元年に12万4,436人となっています。これは日本に在籍するすべての留学生の約60%を占め、一番多くの割合を占めています。

中国人は日本にどういったイメージを持っているのか

上記のように、訪日中国人は非常に多く訪れていますが、中国人が日本を訪れたいと思う理由や日本に対して持っている実際のイメージはどのようなものなのでしょうか。

旅行したい国No. 1

日本貿易振興機関(JETRO)が2018年8月に北京市や上海市、その他の地域で行った20~49歳の高所得者層へのアンケートの回答から、彼らが日本に対して「安全・安心」なイメージを持っていることがわかりました。

旅行したい国No.1として日本が2年連続で選ばれたことからも、日本に対してのイメージが良くなっていることがうかがえます。その他、「礼儀正しい」「エコ(省エネ・環境にやさしい)」「サービスが良い」の項目で日本が1位に選ばれるなど、日本に対しての良いイメージが定着しているようです。

また、日本に対するイメージで「安全・安心」が24.5%を獲得し、前年の2017年1位のドイツを抜いてトップに躍り出ました。

近年の日本への旅行者増加での爆買いや、越境ECの拡大によって日本製品を手にする人が増え、日本に対するイメージが変わりつつあることがわかります。

現在の中国人から見た日本は、安全安心で礼儀正しくサービスが良いという印象が定着しているといえるでしょう。

日本から中国に支援を

新型コロナウイルスが猛威を振るいだした2020年2月ごろから、日本は中国に多大な支援をしています。

在中日本大使館が発表した情報によれば、2月の時点で日本政府や地方自治体が医療用マスク113万枚以上、防護ゴーグル約8万セット、防護服7万4,000セット、体温計100個、消毒液1.15トンなどの支援物資を送りました。

さらに民間の企業からも多くの物資や約2,889万元(約4億5千万円)にのぼる寄付金が中国に届けられました。大阪の道頓堀では「武漢ガンバレ」と書かれた看板が多く掲げられ、SNSでの応援メッセージなどで激励する人も見られました。

そして、日本の感染数が増加してきた4月ごろには、恩返しの意を込めて中国から日本へ医療マスクなどが届けられました。

こうした出来事から、中国人の対日感情はポジティブなものに変わりつつあります。

【海外の反応】「ありがとう、日本の友よ」日本からの支援物資に中国で感謝の声 コロナウイルスめぐり

昨日29日に政府が派遣したチャーター機で中国湖北省武漢から206人が帰国しました。このチャーター機の往路にて、日本政府からの支援物資として中国国内で品薄状態となっているマスクを運んだといいます。日本各地からも支援物資の提供がすすみつつありますが、それに対し、中国ではSNS上で感謝の声が上がっています。今回は速報として中国SNS上での反応をスクリーンショットでご紹介します。関連記事韓国版「マスクマップ」登場!アメリカ、フランスのディズニーも続々閉鎖!【速報】WHO「新型コロナウイルスはパンデ...

コロナで中国の消費動向はどう変わる

新型コロナウイルスの影響で日本への渡航が制限されていますが、中国人の消費動向はどう変わっていくのでしょうか。

「リベンジ消費(報復性消費)」という言葉も生まれるほど人々の購買意欲が高まっているといわれていますが、今後の中国人に向けたプロモーションについて考えます。

「リベンジ消費」の機運高まる

新型コロナウイルスの感染を防止するため、中国をはじめ多くの国で外出制限がかけられています。

そのストレスの反動から、購買意欲が高まり爆買い」の第2波が来るのではないかと期待されています。

「人民網日本語版」によると、ロックダウンが解除された後の中国の5月の「労働節連休」では、5日間で1兆5,700億元、1日あたり平均で3,100億元の取引額を記録し、4月に比べて16%の増加となりました。

日本インバウンド・メディア・コンソーシアムが実施した調査では、日本が「行きたい国No.1」になっており、コロナ後に備えた対策を取ることで収益増加が期待できます。

リベンジ消費とは|中国ではすでに消費拡大!アフターコロナに向けたインバウンド対策

新型コロナウイルスの感染拡大を防止するため外出に制限がかけられていた国や地域では、そのストレスの反動で購買意欲が高まるという「リベンジ消費」の現象が見られています。ECサイトの利用や国内旅行者の増加など、リベンジ消費を象徴する動きは中国や韓国で確認されており、消費活動がふたたび盛んになるのではないかと期待されています。「日本インバウンド・メディア・コンソーシアム」が中国のネットユーザーを対象に実施した調査では、新型コロナウイルスの収束後に訪れたい国として日本がトップになるなど、収束を見越し...

中国人は日本に戻ってくるのか

中国大手旅行サイト「Trip.com」の調査によると、ロックダウン解除後の「労働節連休」に中国国内旅行に出かけた中国人は延べ1億1,500万人、経済効果は約7,175億円でした。

感染防止の面から、観光地やお店では事前予約制や人数制限を行ったため、例年に比べると旅行者数は減少していますが、予想をはるかに上回る勢いで増加しています。

この状況から見て、海外旅行が解禁になった際には旅行者は「行きたい国No.1」の日本へ押し寄せるのではないかと考えられます。

中国に向けた効果的なPRとは

中国人は、日本人から見ると少し派手すぎるのではないかという演出でも好意的に受け入れる傾向があります。

昨今では世界中でSNSを利用したプロモーションが盛んに行われており、利用者が10億人を超えるといわれる中国向けにも動画などでのPRが有効でしょう。

コト消費」に移行しつつある消費傾向から、感動体験などの強いメッセージ性を持った動画などは好意的に受け止められる可能性が高く、シェアされやすいと考えられます。

こうした中国人の感性を踏まえたうえでインバウンド対策を行うと、より魅力的なPRができるでしょう。

中国人「感動して涙が止まらない」…コロナ禍、中国SNSで"バズった"3つのエピソードからみる中国人の心の琴線に触れるPR

新型コロナウイルスの世界的な感染拡大に伴い、中国政府や地方政府が在外中国人に向けてマスクなど発送した際に、感動的な手紙が同封されていたことが話題となっています。中国で感染の流行が深刻化した2月頃には、民間から中国への支援が広がりました。日本から届いた支援物資に漢詩の激励のメッセージが書かれていたことに対し、中国人は感謝の気持ちをSNSなどに投稿するだけでなく、お返しとして3月下旬に日本へマスクを寄付する動きにまで発展しました。今回の支援物資に対する反応から読み取れる中国人の感性と、それらを...

コロナ禍がきっかけで親日度が上がっている

新型コロナウイルスがきっかけで日本と中国の交流が生まれ、親日度が上がっています。

外出制限などの反動でリベンジ消費の機運も高まり、越境ECでの日本製品の購入や海外旅行が解禁された際の訪日需要が増えることが見込まれます。モノ消費としては、品質の良い日本の電化製品や化粧品、日用品、医療品などの需要が相変わらず高く、コト消費ではアニメの聖地巡礼なども人気が高まっています。

コロナ後のインバウンド対策はすでに始まっています。中国人の親日度が上がっている今、日本に対するイメージを考慮して効果的なプロモーションを考えて準備する必要があるでしょう。


関連インバウンド記事

 

役にたったら
いいね!してください

この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

訪日外国人観光客のインバウンド需要情報を配信するインバウンド総合ニュースサイト「訪日ラボ」。インバウンド担当者・訪日マーケティング担当者向けに政府や観光庁が発表する統計のわかりやすいまとめやインバウンド事業に取り組む企業の事例、外国人旅行客がよく行く観光地などを配信しています!