グリーンツーリズムと農泊の違い/成功事例・全国500地域で政府が後押し

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グリーンツーリズムとは、自然、文化、人々との交流を楽しむ観光の一形態です。特に農業、林業、漁業などの体験型宿泊であるグリーンツーリズムを「農泊」と呼びます。

2017〜2020年度が対象期間となる、政府の観光立国推進基本計画の改定素案が2日に判明しました。改定素案では農泊について、全国500地域でビジネスとして展開することを示しています。

グリーンツーリズムの一形態である農泊について、またその成功事例について紹介します。

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全国500地域に「農泊」展開する観光立国推進基本計画改定素案

2017年2月2日、政府の観光立国推進基本計画の改定素案が判明しました、改定素案は2017年から2020年までを対象としたもので、主な改正項目は

  • 農山漁村の体験型宿泊を全国500地域でビジネスとして展開
  • 文化財を活用した観光拠点を200カ所設置

といったものです。

「明日の日本を支える観光ビジョン」施策概要:kantei.go.jpより引用

「明日の日本を支える観光ビジョン」施策概要:kantei.go.jpより引用

農山漁村の体験型宿泊「農泊」については、2016年3月に制定され、政府目標を2020年訪日外客数2000万から4000万に引き上げすることを決めた「明日の日本を支える観光ビジョン」でも触れられています。

2016年版「明日の日本を支える観光ビジョン」では50地域とされていましたが、それが10倍の500地域に拡充された格好です。

観光立国推進基本計画とは

インバウンドビジネスに関心のある方なら、ここまでで触れた「観光立国推進基本計画」や「明日の日本を支える観光ビジョン」というフレーズについて何度か読み聞きしたことがあるかと思います。訪日ラボでも以前から何度かご紹介していますが、改めて基本構造を確認しましょう。

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まずインバウンド関連の取り組みの上位層にあるのが「観光立国推進基本法」です。これは2006年12月に成立、2007年1月から施行されたもので、日本の重要政策としての観光立国についての基礎を定めたものです。

この「観光立国推進基本法」にもとづき2012年3月に閣議決定されたのが「観光立国推進基本計画」で、「観光立国推進基本法」の概念について具体的な目標・施策・計画に定めたものです。この計画の実現のため、政府はさまざまな取組をしており、その一環として、前述の「明日の日本を支える観光ビジョン」の策定などがあある、といった構造です。

改正の目玉のグリーンツーリズム「農泊」とは?

さて、今回の「観光立国推進基本計画」で改正の目玉となる農山漁村の体験型宿泊ですが、具体的な名称としては「農泊」といい、地方などでその土地の生活を味わうように滞在する「グリーンツーリズム」にカテゴライズされます。

農泊とは、「農家民泊(農林漁業体験民宿)」ないし「農家民宿」の略称です。その名の通り、農業や林業、漁業などの体験や、それらを生業とする方々と一緒に生活をすることで、その普段の生活に触れることを目的とした体験型宿泊です。

農水省がその普及を後押ししており、農村・山村・漁村を中心とした地方の活性化を目的とした事業です。

なぜインバウンドで「農泊」なのか?

農泊では、農家そのもの、または農家の民宿や、古民家、廃校などを宿泊施設として活用します。そのため、少子高齢化が進み古民家や廃校校舎などの廃屋が増加する地方における、廃屋の有効活用となります。

また、訪日中国人観光客をはじめとし、インバウンド全体がコト消費化になるなか、体験型の観光が注目を集めており、また従来ゴールデンルートに集中していたインバウンド消費を地方へ誘致することができることなどから、インバウンドにおいて農泊に注目があつまっています。

モノ消費からコト消費へ|定義と最新傾向「トキ消費」「エモ消費」「イミ消費」

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農泊の成功例:安心院グリーンツーリズム研究会

NPO 法人 安心院町グリーンツーリズム研究会:mlit.go.jpより引用

NPO 法人 安心院町グリーンツーリズム研究会:mlit.go.jpより引用

農泊の成功例としてあげられるのが、大分県安心院町での農泊の取り組みです。1996年から「安心院町グリーンツーリズム研究会」を立ち上げてから、継続して農泊の受入を続けています。

立ち上げ当初の旅館業法では、人を宿泊させるためには客室の広さが33平方メートル以上必要で、食品衛生法では、宿泊客専用の台所が必要とされていました。これでは、一般家庭が農泊として旅行者などを受け入れることはほどんど不可能です。

そこで、安心院町グリーンツーリズム研究会は大分県知事に規制緩和を求めます。その結果、安心院町に対して、独自に上記の規制が緩和され、その規制緩和が全国基準となって広まっていきます。

立ち上げ当初、安心院への訪問者はわずか80人でしたが、安心院町も「安心院町グリーンツーリズム研究会」の農泊の取り組みに賛同、町で「グリーンツーリズム宣言」をし、現在では、旅行者と国内外からの視察(ファムトリップ)も含めて年間約1万人が訪問しています。

ファムトリップとは

インバウンドプロモーション手法の一つとして、ファムトリップが注目されています。ファムトリップはFamiliarizationTrip(ファミリアライゼーショントリップ)の略称で、FAMトリップと表記されることもあります。ターゲットとしたい市場のメディアやブロガー、旅行代理店を招待し、実際に観光コンテンツを体験してもらうツアーやPR手法を意味します。体験後は、参加者であるメディアやブロガー、旅行代理店等に現地向け情報発信をしてもらいます。コンテンツは、ブログやSNS、その他あらゆるメディアで...

コト消費ニーズにこたえるグリーンツーリズムの一つ「農泊」

政府は先日の観光立国推進基本計画の改定素案にて、農泊の普及を以前の全国50地域から500地域に目標を改定、農泊を活用したグリーンツーリズムを後押しする模様です。

農泊は、インバウンド市場でのコト消費化によるニーズの変化にこたえるだけでなく、今までゴールデンルートなどの主要観光地に集中していたインバウンド消費を分散、地方誘致させる取り組みです。

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目次コト消費とは「コト消費」はいつから使われ始めた?インバウンドでの「コト消費」の使われ方は?なぜ「コト消費」という言葉が注目され始めたのかコト消費とはインバウンドにおける「コト消費」とは、訪日外国人観光客が旅館やホテルなどでの宿泊、観光地やアクティビティーでの体験など、経験・体験に対して価値を見出す消費行動のことをいいます。インバウンド業界のみならず、一般のニュースにおいても、訪日中国人観光客の「爆買い」というキーワードが騒がせていましたが、為替相場が元安円高傾向にふれるにつれ、訪日中国...

日本観光の王道?ゴールデンルートとは

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またさらに、農泊は、政府が再利用を進めている古民家や廃校の活用ともマッチングするため、今後のインバウンド業界の注目キーワードとなりそうです。

古民家を使った旅館やレストランがオープンしやすく! 国交省、市街化調整区域の建造物を観光振興などに運用する方針

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廃校活用の事例10選|宿泊施設として有効活用・地域活性化・訪日外国人も増加

廃校をリノベーションし、活用する活動が増加しています。廃校の再利用は地域活性化のみでなく、不足する宿泊施設のインバウンド対策としても注目を浴びています。この記事では、廃校が宿泊施設へと生まれ変わった事例をご紹介します。インバウンド対策にお困りですか?「訪日ラボ」のインバウンドに精通したコンサルタントが、インバウンドの集客や受け入れ整備のご相談に対応します!訪日ラボに相談してみる目次廃校をリノベーションで宿泊施設に!活用・利用事例を解説廃校を宿泊施設に活用する動き1. 秋山郷結東温泉 かたく...

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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