コロナ後の外国人観光客受け入れに、地域住民の理解は得られるか?あらためて「関係人口」創出の意義を考える

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新型コロナウイルスを経験した現在、訪日外国人と地域住民との関係性のあり方についてはもう一度考える必要があるのではないでしょうか。

この記事では、日本のインバウンドのこれからを考える上で重要な「関係人口」について改めて意義を整理します。

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観光客でも、定住者でもない「関係人口」とは?

関係人口」とは観光客ではなく、定住者でもない存在です。関係人口とは何か、外国人の関係人口を増やす意義についても説明します。

地域の可能性を広げる「関係人口」

関係人口とは、地域と多様に関わる人たちのことを指します。移住した方の数を示す定住人口や、観光に訪れた交流人口とは異なる概念です。関係人口に含まれる方は、地域への活動に継続的に参加して、地域の活性化やブランディングに寄与しています。

過去にその地域で働いたことがある、または観光で訪れてその地域を好んだ方などが関係人口になるきっかけです。

現在、地方では人口減少と高齢化が進んでおり、地域外の人材が地域と関わるケースが増えています。この人材が関係人口であり、将来的に地域づくりの担い手になることを期待されています。

内閣府の「まち・ひと・しごと創生本部」の資料によると、関係人口の創出・拡大事業には訪日外国人の地域への関心を熟成する取り組みも含まれています。関係人口は、地域と関わりを持つ方を総合的に含んだものであり、訪日外国人も重要な存在です。

関連記事:日本が「移住したい国1位」 に 豪州、カナダなどで

関係人口とは 総務省「関係人口ポータルサイト」
▲関係人口とは:総務省「関係人口ポータルサイト」

内閣府の発表した「令和3年度予算(案)」においても「関係人口創出・拡大のための対流促進事業」として予算が組まれています。前年度の予算が100億円に対して、令和3年度の予算が155億円です。「新たな日常」の実現を目指す地方創生において、「地方創生の推進」のための重要な予算として認識されています。

外国人でも「関係人口」になりうる

訪日外国人観光客は「交流人口」の増加に寄与し、地方の定住人口の減少をカバーできると期待されています。

定住人口1人当たりの年間消費額(2017年)は125万円であり、この定住人口1人の減少は、外国人旅行者8人分(交流人口)を誘致することでまかなえます。

人口減少による経済低迷を回避するために、日本がインバウンド誘致を促進してきた理由の一つがこちらです。

しかし、新型コロナウイルスによって訪日外国人に対する地方住民の印象はネガティブに転じる可能性もあります。

観光交流人口増大による定住人口の補完のしくみ 訪日ラボ・インバウンドデータレポート
◀︎観光交流人口増大による定住人口の補完のしくみ:訪日ラボ・インバウンドデータレポート

そのため、今までの「交流人口」の増加というアプローチでは不十分である、さらに一歩踏み込んだ「関係人口」創出のためのアプローチを進めるべきではないでしょうか。

観光という形の訪問ではなく、多くの外国人に地域の交流に参加してもらうことで、地域住民の訪日外国人への理解を深めることにもつながります。

関連記事:「2040年の日本終了」シナリオを避けるために。



単なる観光客から地域に積極的にかかわる関係人口増加へ

観光客としてだけではなく、地域に積極的にかかわる人材を増やすためには、どのような方法が考えられるでしょうか。

九州農政局:農泊をきっかけに関係人口を増やす

九州農政局では台湾、香港向けの取り組みを実施しています。農山漁村滞在型旅行として農泊を実施しており、農家が受け入れをして実際に農業体験ができる旅行です。

例えば、ビニール掛け作業や実際の農作業などを体験可能です。

農家では親戚や知人の家を訪れたような対応を受けられるためリラックスできたという声があります。

九州の各地に農泊に対応したエリアが存在しており、農林水産省の農山漁村振興交付金に採択されたエリアで農泊が広まっています。

また、グリーンツーリズムと呼ばれる試みも注目されています。その地域の自然や文化、人々との交流ができる滞在型の旅行のことです。九州農政局による農泊グリーンツーリズムの一環といえます。

グリーンツーリズムは欧州では一般的なものとして認知されている体験型の旅行スタイルであり、日本では1994年に「農山漁村余暇法」が制定されたことから推進が本格化しました。

その土地ならではの自然や文化を体験でき、地元の人たちとの交流も盛んになることから関係人口の増加に大きく寄与します。単なる観光客として終わるのではなく、今後も末永く地域と深く関わっていく人口を増やすことにつながります。その結果、インフラの整備や雇用の創出なども期待できます。

関連記事:「グリーンツーリズム」とは | 新型コロナが追い風に?コト消費ブーム・歴史と事例3選・地域活性化・メリットとデメリット

カヤックLiving:inbound SMOUT supported by FREEPLUSを実施、外国人の関係人口増加につなげる

より深く日本の地域を体験するための試みとして、カヤックLivingはFREEPLUSと協働して「inbound SMOUT supported by FREEPLUS」に取り組んでいます。

訪日外国人が対象で、日本の伝統文化や地域の暮らしを体験してもらう機会を提供する内容です。「観光以上、定住未満」を目的としており、地域への来訪を促します。その結果、地域の関係人口を増加させて、人口減への対策となることが期待されています。

「inbound SMOUT supported by FREEPLUS」では、さまざまなプロジェクトがリリースされており、現在では以下の7都市の地域からも募集しています。

  • ベルリン(ドイツ)
  • タリン(エストニア)
  • バリ島(インドネシア)
  • ヤンゴン(ミャンマー)
  • アムステルダム(オランダ)
  • バンコク(タイ)
  • ポートランド(アメリカ)

コロナ後、安定したインバウンド獲得のために求められる「関係人口」

新型コロナウイルスの不安により、コロナ後に外国人観光客が訪れたとしても、地域住民にとってネガティブに受け取られることが懸念されます。また、単なる一時的な観光客を増やすだけでは、持続可能性という観点では決定打に欠けます。

そこで、「関係人口」が注目されています。関係人口の創出に注力し、訪日外国人と地元の方たちとの関わりが増えて互いの信頼感が醸成されれば、地域住民も外国人を受け入れやすくなることでしょう。

新型コロナウイルスによってインバウンド誘致を促進する意義が変わることはありませんが、地域住民とのコミュニケーションのあり方は再考する余地があるといえます。

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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