2017年3月のインバウンド市場は、訪日外客数が220.6万人で前年同月比 9.8%増となり、3月として過去最高となりました。しかしながら、昨年3月スタートだったイースター休暇が今年は 4 月となったことで、欧米豪などの市場の伸びが足止め。先月に引き続きインバウンド市場全体としては1桁台の伸びにとどまりました。
[blogcard url=”https://honichi.com/17845”]
それでは、2017年3月の各国のインバウンド市場の状況と、前月2月にビジットジャパンによって行われた各国インバウンド市場向けプロモーションを見ていきましょう
<2017年2月のインバウンド市場まとめはこちら>
[blogcard url=”https://honichi.com/16564”]
<2016年のインバウンド市場まとめはこちら>
[blogcard url=”https://honichi.com/13991”]
最新インバウンドニュースを毎週配信!訪日ラボのメルマガに登録する
2017年3月までの全国籍インバウンド外客数推移
2017年3月の全国籍の訪日外客数は220.6万人(前年同月比9.8%増)となり、昨年3月の201万人を19万人以上上回って過去最高を記録しました。しかしながら、 伸び率は1桁台にとどまっており、 2017年の3月は先月2月に引き続き苦戦したと言えます。
2月の苦戦の理由は、先月の訪日外客数レポートでも解説したとおり、中華圏の春節(旧正月)が昨年2月スタートだったのが1月末スタートになったことにありました。
それに対し、3月苦戦の背景にはキリスト教圏の祭日「イースター」があります。イースターとはキリストの復活を祝う祝日であり、おおよそ1週間程度の連休となります。そのため、例年 イースター休暇においては桜・花見需要もあいまって欧米豪などの国のインバウンド需要がピークを迎える 傾向にありました(詳細は以下のリンク参照)。
[blogcard url=”https://honichi.com/17845”]
このイースター休暇が 昨年2016年は3月末にスタートだったのが、今年2017年は4月中頃からスタート したことにより、米国やカナダ、欧州各国、豪州などのキリスト教圏の市場において影響。これによって伸び率1桁台にとどまったと考えられます。
なお、イースター休暇が4月に移行したことにより、今年は桜・花見の見頃と合致するため、4 月のインバウンド市場は欧米豪の市場を中心にインバウンド需要の高まりが期待できる でしょう。
2017年3月までの中国籍インバウンド外客数推移
2017年3月の中国インバウンド市場では、約50.9万人で、3 月として過去最高を記録しました。しかしながら伸び率は前年同月比 2.2%増にとどまっており、春節(旧正月)のズレ込みの影響を受けた2月に引き続き低空飛行を続けています。
この要因は、中国から欧州や北米、豪州等へ向かう一部航空券の価格が大きく下がったこと。特に 欧州向けツアーと日本向けツアーとの価格差が縮まったことから、インバウンド需要が他国への海外旅行需要に流れてしまった ことが影響している模様です。
前月2017年2月の中国向けインバウンドプロモーション活動は?
中国インバウンド市場向けの2月のプロモーションは、クルーズ船寄港で中国市場が好調な九州へのインバウンド需要の増加を目的に、更なる魅力の訴求を図りました。具体的には、個人旅行者(FIT)向けのキャンペーンを複合的に実施。
中国最大のOTAのCtrip(シートリップ)と連携し、九州各県のホテル販促キャンペーンを実施。その他KOL(キー・オピニオン・リーダー)3名を九州に招請し、、その様子を中国国内大手生放送サービス「一直播」を通じて配信。瞬間最大視聴者数は22.6 万人に及びました。
[blogcard url=”https://honichi.com/13901”]
[blogcard url=”https://honichi.com/7524”]
2017年3月までの台湾籍インバウンド外客数推移
2017年3月の台湾インバウンド市場では、前年同月比 3.5%増の約34.0万人で、3月として過去最高を記録しました。しかしながら中国同様、春節(旧正月)の影響がない3月も伸び悩みを見せています。
台湾のアウトバウンドについて、日本へのインバウンド需要が他アジア諸国への旅行需要に流れている状況があり、動向を注視していく必要がありそうです。
前月2017年2月の台湾向けインバウンドプロモーション活動は?
台湾インバウンド市場向けの2月のプロモーションは、台湾人の人気ブロガー(KOL)とともに埼玉県の秩父周辺の取材記事を旅行プロモーションサイト「日本旅遊活動」に掲載。秩父は人気アニメ「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。(略称:あの花)」の聖地であり、今回のプロモーションでも「あの花」聖地を訪れています。
[blogcard url=”https://honichi.com/10361”]
2017年3月までの香港籍インバウンド外客数推移
2017年3月の香港インバウンド市場は約16.5万人で、3月として過去最高を記録。しました。しかしながら伸び率は前年同月比 2.2%増にとどまっており、中国・台湾同様に伸び悩みを続けています。
この要因にあるのは冒頭でも触れた「イースター休暇」。 香港では、その歴史的背景から欧米の文化が取り込まれており「イースター休暇」の4月中旬にずれたことが影響 している模様です。
前月2017年2月の香港向けインバウンドプロモーション活動は?
香港インバウンド市場向けの2月のプロモーションは、香港で知名度の高いグルメ雑誌「飲食男女」を香川県に招請。同誌2月号にうどんを切り口に香川県を巡るグルメ体験が紹介され、 旅慣れている&グルメ好きという特徴を持つ訪日香港人観光客のインバウンド需要を喚起 しました。
[blogcard url=”https://honichi.com/13782”]
また2月中旬には香港の婚礼関連の見本市「第 86 回香港ウェディング・フェア」にビジット・ジャパンとして出展。コト消費の新たな切り口として日本での「ウェディングツーリズム」の魅力をプロモーションしました。
[blogcard url=”https://honichi.com/12263”]
[blogcard url=”https://honichi.com/11348”]
2017年3月までの韓国籍インバウンド外客数推移
2017年3月の韓国インバウンド市場は、前年同月比 30.6%増の約48.8万人で、3月として過去最高を記録しました。
格安航空会社(LCC)の増便などによる大幅な航空座席供給量の増加や、SNSを活用した九州地方の魅力を訴求する訪日旅行プロモーションがインバウンド需要を喚起し、東アジア圏の市場が軒並み低迷する中、 30%を超える高い伸び となりました。
ただし、4月以降については北朝鮮ミサイル問題による朝鮮半島の緊迫化の影響が懸念されるため、引き続き注視していく必要があるでしょう。
[blogcard url=”https://honichi.com/17761”]
前月2017年2月の韓国向けインバウンドプロモーション活動は?
韓国インバウンド市場向けの2月のプロモーションは、SNS上で精力的なPRを展開しました。韓国Facebookで高い人気を誇る「旅行にはまる」とタイアップし、九州エリアの魅力を発信するプロモーション動画を作成。この映像を映画館の劇場広告やYouTube、FacebookなどのSNSを通じて拡散し、動画は120万回を超える動画再生回数を記録しています。
[blogcard url=”https://honichi.com/17395”]
また、プロモーション動画の拡散と並行して九州旅行が当たるキャンペーンイベントをカカオトーク、Facebook、Instagram等のSNSで展開するなど、 動画の拡散によって喚起したインバウンド需要を、実際の訪日行動につなげる施策を展開 しました。
[blogcard url=”https://honichi.com/10129”]
2017年3月までのタイ国籍インバウンド外客数推移
2017年3月のタイインバウンド市場は、前年同月比11.8%増の約11.2万人で、3月として初めて10万人を超え、過去最高を記録しました。例年3月はソンクラーンに先立ってインバウンド需要が伸びるシーズンとなっています。
日本―タイ間の新規就航や増便による航空座席供給量の増加、タイ最大の旅行博「TITF」への出展、ウェブサイト等を活用した消費者向けキャンペーンなどの訪日旅行プロモーションが訪日意欲を喚起し、堅調に推移した模様。
タイの最大の旅行シーズンである「ソンクラーン」は、今年は4月13日からスタートしています。 4月は更なるタイ市場インバウンド需要の高まりが期待 できます。
前月2017年2月のタイ向けインバウンドプロモーション活動は?
タイインバウンド市場向けの2月のプロモーションは、2月15日~19 日にかけて、バンコクで開催された旅行博「第 20 回 Thai International Travel Fair(TITF)」 に出展し。TITFはタイ最大の国際観光見本市であり、今回は、日本から65団体出展しメインホールの 1/3を占め他競合国を圧倒するジャパンゾーンを展開しました。
2017年3月までの米国籍インバウンド外客数推移
2017年3月の米国インバウンド市場は、 前年同月比12.6%増の約13.1万人で、3月として、かつ単月として過去最高を記録 しました。
香港市場で解説したとおり、 今年の「イースター休暇」は昨年3月末開始だったのが4月スタートになりました。そのため、市場縮小の懸念があった ものの順調に推移。米国内のメディアでの日本の露出増加や、日本各地方の紹介など取り上げられる内容の多様化などにより、日本の魅力を多方面に発信できていることがインバウンド需要の喚起に繋がったと考えられます。
前月2016年12月米国向けインバウンドプロモーション活動は?
米国インバウンド市場向けの2月のプロモーションは、JNTO ニューヨーク事務所で2月中旬に開催された「Educational Travel Consortium (ETC)」に参加しました。ETCは大学の卒業生組織向け旅行や美術館・博物館の会員向け旅行(アフィニティ・トラベル)の企画担当者やその手配を専門に行うツアーオペレーターが集まる商談会
で、「日本は非常に人気の高い外国旅行先であり、ゴールデンルート以外の新たなコンテンツを紹介して欲しい」との声があがっているなど「日本でしかできない特別な体験」への関心の高さが伺える内容でした。
[blogcard url=”https://honichi.com/3679”]
2017年3月までのカナダ籍インバウンド外客数推移
2017年2月のカナダインバウンド市場は、前年同月比10.4%増の約2.9万人で、3月として過去最高を記録しました。
カナダ国内では、日本車や日本食などの日本に関するコンテンツが身近なものとして認識されつつあり、これがインバウンド需要に喚起しているものと考えられます。
前月2017年2月のカナダ向けインバウンドプロモーション活動は?
カナダインバウンド市場向けの2月のプロモーションは、前述の通りカナダで人気が高まる「日本食」を切り口に訪日者数の更なる増加をねらい、2月中旬に「Taste of Japan Week」というイベントを開催しました。同イベントは、在トロントの日
本食レストランと連携しての開催で、イベント限定の日本食メニューを特別価格で提供。さらに、参加者にはホテル付きの日本行き航空券が当たるコンテストを実施しました。
2017年3月までの英国籍インバウンド外客数推移
2017年3月の英国インバウンド市場は、約3.1万人で、 前年同月比9.6%減 という結果に。大型クルーズ客船の入港により3,000人以上が訪日するなどでインバウンド需要を下支えしたものの、 イースター休暇の4月へのずれ込みが大きく影響 しました。
前月2017年2月の英国向けインバウンドプロモーション活動は?
英国インバウンド市場向けの2月のプロモーションは、英国主要テレビチャンネル「ITV」にてインバウンド需要を換気するCMを放映しました。ITVは民放で最も視聴されており、ロンドン周辺を中心にプライムタイム(17:30-23:00)に多く放映。その結果視聴者の50%以上にリーチすることができました。
2017年3月までのオーストラリア国籍インバウンド外客数推移
2017年3月の豪州インバウンド市場は、約4.0万人で、 前年同月比 4.2%減という結果 に。2014年3月以来、約3年ぶりに前年同月割れをしました。英国同様、 イースター休暇の4月へのずれ の影響が大きかった模様です。
前月2017年2月の豪州向けインバウンドプロモーション活動は?
豪州インバウンド市場向けの2月のプロモーションは、旅行博・セミナー・見本市への精力的な参加・出展をしました。豪州13都市で開催された一般消費者向け旅行博「FLIGHT CENTRE TRAVEL EXPO 2017」には、うち3都市で出展。またインバウンド促進セミナーをシドニー・ブリスベンにて開催したほか、 MICE 専門見本市「Asia Pacific Incentives and Meetings Expo 2017」に日本ブースを出展するなど、「FIT」「日本食」「MICE」をキーワードにインバウンドプロモーションを展開しました。
<参考>
- JNTO:訪日外客数(2017 年 3 月推計値)
- JNTO:2 月の市場動向トピックス
【2023年インバウンド最新動向を予測】国・地域別デジタルマーケティング戦略
2022年10月からついに入国者数の上限撤廃、短期滞在者のビザ免除等が実施され、訪日観光が本格的に再開されました。
未だ"完全回復"には至っていないものの、観光地によってはすでに多くの訪日外国人観光客が訪れているところもあり、「インバウンド対策」への関心が急速に高まっています。
では、今やるべきインバウンド対策とはなんでしょうか。そしてそれを国・地域別に見ると、どういった違いがあるのでしょうか。
インバウンド対策を何から始めたら良いか悩んでいる方や、インバウンドの最新動向を知りたい方向けに
- 最新の訪日観光の状況や今後の予想
- 国・地域別のデジタルマーケティング
- 外国人向け情報発信の際に意識すべきこと
などがわかる資料を公開しています。
今こそインバウンドを基礎から学び直す!ここでしか読めない「インバウンドの教科書」

スマホ最適化で、通勤途中や仕込みの合間など、いつでもどこでも完全無料で学べるオンラインスクール「口コミアカデミー」では、訪日ラボがまとめた「インバウンドの教科書」を公開しています。
「インバウンドの教科書」では、国別・都道府県別のデータや、インバウンドの基礎を学びなおせる充実のカリキュラムを用意しています!その他、インバウンド対策で欠かせない中国最大の口コミサイト「大衆点評」の徹底解説や、近年注目をあつめる「Google Map」を活用した集客方法など専門家の監修つきの信頼性の高い役立つコンテンツが盛りだくさん!
【無料】「インバウンドの教科書」を見てみる