DMOはどうやってデータをインバウンドに活用すべきなのか?
インバウンド市場が盛り上がる中で、DMOがデータをインバウンド集客で活用する事例が増加しています。データ活用におけるDMOのプロモーションの成功事例では、インバウンドに関連するデータを、収集し解析することで効果的なインバウンド対策を実施できているようです。
このページでは、DMOのデータのインバウンド対策やインバウンド集客における活用について、次の3つの事例を取り上げます。
- DMO×データ活用事例その①:熊本の観光復興へビッグデータ活用、DMOが観光分析データベース構築
- DMO×データ活用事例その②:一般社団法人宮城インバウンドDMO、TwitterやWeiboなどのSNS解析データを含むインバウンド関連のビッグデータを活用
- DMO×データ活用事例その③:せとうちDMO、観光プロモーションへの投資対効果の見える化に成功
DMOのインバウンド対策やインバウンド集客では、データ活用をすることで効率的かつ効果的に施策を行えます。どこの国からのインバウンドが多いのか、消費額が多いのは国籍・年代含めどんな人なのかということは、対策を講じたりターゲットをしぼったりする上で非常に重要です。そして、それはイメージや体感ではわかりません。なんとなく中国人が多いかな、と思っていたら実は最も多いのは韓国人だった、ということもあるでしょう。正しいデータ活用をすることで、最も注力すべきはどこなのかということがわかってきます。体感ではかるよりも正確に、そして効率的に施策を行えます。
ここでは、DMOという業界・業種におけるデータ活用のプロモーション事例を紹介していきます。
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日本版DMO候補法人の株式会社くまもとDMCは、ビッグデータと高度データサイエンスを活用した観光振興専用の分析データベースを構築することを発表。熊本県の観光客増加と現地消費の拡大に向けたブランディングやマーケティングにいかすとともに、県内の自治体や観光事業者などの調査・分析の受託やコンサルティングを行なう。くまもとDMCは熊本地震後の観光復興を加速させる目的で、2016年12月に設立。地震で減少した訪問者数の回復とともに、観光ビジネスと地方産品販売の両輪で「稼げる地域づくり」を目指しています。
代表取締役社長・村田信一氏は、同社が「地元銀行である肥後銀行の主導で設立した民間組織。機動力に溢れ、収益性に主眼を置いている」と、他のDMO/DMCとの違いを強調。マーケティングにおいても、「圧倒的なマーケティング力で全国でもユニークな取り組みをしていく」と、力を入れる方針です。今回の分析データベースはその基盤となるもので、分析に使用するビッグデータの提供元として、ナビタイムジャパンやAgoop、eBase、カスタマー・コミュニケーションズの4社と提携。各社の目的地検索データやインバウンドGPSデータ、モバイル端末の位置情報、飲食・小売のPOSデータなどを、日本マイクロソフトのクラウドプラットフォーム「Microsoft Azure」に蓄積します。データの分析には、データビーグルの分析ソフト製品を使用。データサイエンスの専門知識がない人でも簡単に扱えるように開発した製品で、これにより、くまもとDMCは広範なビッグデータの分析を省力化し、戦略策定や各所との調整、施策実行といった現場の業務に注力できます。くまもとDMCによると、マーケティング業務は従来の3分の1以下に縮小できるといいます。将来的には同分析データベースを、導入を希望する全国のDMOに販売していく考えです。
一般社団法人宮城インバウンドDMO、TwitterやWeiboなどのSNS解析データを含むインバウンド関連のビッグデータを活用
宮城DMOは、TwitterやWeiboなどのSNS解析データを含むインバウンド関連のビッグデータを分析し、宮城県南における国籍別の動向(訪問地など)を把握しました。また、ビッグデータだけではなく、対面調査やWebアンケートも併用し、ターゲットとしている国籍(台湾・タイ)の外国人の詳細な動向(交通機関、訪問回数、利用空港など)も把握しました。その結果、施策の方針検討の際に有用な示唆を得ることが可能になりました。様々な民間企業や自治体など100人を超える関係者に集め、二次交通・宿泊・観光資源・ツアー造成・プロモーションなどのカテゴリー別に計50回以上のWGセッションを実施しました。その結果、プローションを進めていく上で要となるコンセプトの決定、観光ツアー案の造成、認知度向上施策の策定などの様々な成果を得ることに成功。
ターゲット国籍を台湾人・タイ人と定め、彼ら向けにツアーを数多く企画し、多くの旅行会社を通じて販売しました。また、海外で行われた旅行博にも複数回出展し、BtoBだけでなくBtoCへのPR活動も強化しました。また、台湾に関しては、宮城DMOに属している各自治体の長が、台湾に出向き、トップセールスも実施。6カ国語対応(日本語、英語、タイ語、台湾繁体字、中国簡体字、韓国語)の指さし会話シートの作成・配布や、南宮城の4カ国語対応(英語、台湾繁体字、中国簡体字、タイ)のガイドマップの制作・配布を実施しました。また、導入するだけではなく、関係者への研修を通じて、しっかりと活用方法も浸透させています。
せとうちDMO、観光プロモーションへの投資対効果の見える化に成功
せとうちDMOは、地域を訪れる訪日外国人を2020年には600万人泊まで倍増させる目標を設定。これを達成するため、YouTube 動画広告を活用し個人旅行者の来訪意向を高めるデジタルマーケティング戦略に取り組んでいます。今回、デジタル活用により投資対効果を見える化することで各プロモーションの貢献度を測ること、ニーズの把握と施策の改善を素早く行うPDCAの 体制を整えることに成功し、今後の躍進の礎を得ました。旅行会社によるツアー企画やチラシ配布、催し物などによる従来からの観光プロモーション施策の延長だけでは、「5年間で訪日外国人を倍増させる」という急進的な目標に対応することは困難で しました。近年の訪日外客数が急伸長する好機に対応し、瀬戸内地域に足をのばしてもらうには、プロモーション施策の投資対効果を見える化し、PDCA によって投資効率を高め続けていくような観光 地経営を実現する必要がありました。
プロモーションの投資対効果を見える化するため、米国政府でも採用されている手法を参考に、デジタル プロモーション施策「せとうち DMP(Data Management Platform)」の実証事業に取り組みました。これは、認知向上~ 来訪意向の形成~ 手配~ 実際の旅行~ SNS共有まで、スマホ時代における旅行者の行動に対応したコンテンツを準備し、それぞれの遷移ポイントでデータを計測・蓄積することで、投資効率を改善するための基礎データを取得するものです。今回の実証事業では、認知向上や来訪意向の形成を目指した動画を6本制作し、7か国にYouTube動画広告を配信、データを収集。動画は360万人に視聴され、そのうち何名が観光情報サイトや予約サイトに進んだのか計測できたことで、各動画が認知向上 ~ 来訪意向の形成にどの程度貢献できたのか、投資対効果が明確になりました。さらに、動画別、国別の視聴傾向などのデータ分析から旅行者のニーズが明らかにでき、今後の動画制作や広告配信の最適化など各フェーズでのPDCAが回せるようになり、「せとうちDMP」の基本スキームを実証できました。