電車・鉄道はどうやってデータをインバウンドに活用すべきなのか?
インバウンド市場が盛り上がる中で、電車・鉄道がデータをインバウンド集客で活用する事例が増加しています。データ活用における電車・鉄道のプロモーションの成功事例では、インバウンドに関連するデータを、収集し解析することで効果的なインバウンド対策を実施できているようです。
このページでは、電車・鉄道のデータのインバウンド対策やインバウンド集客における活用について、次の3つの事例を取り上げます。
- 電車・鉄道×データ活用事例その①:西鉄と日立、交通データ活用した次世代バス事業で協創
- 電車・鉄道×データ活用事例その②:JR九州のポイントサービス統合後のマーケティング基盤としてプライベートDMP+MAを導入
- 電車・鉄道×データ活用事例その③:JR東日本、ビッグデータ活用に向け線路設備モニタリング装置導入
電車・鉄道のインバウンド対策やインバウンド集客では、データ活用をすることで効率的かつ効果的に施策を行えます。どこの国からのインバウンドが多いのか、消費額が多いのは国籍・年代含めどんな人なのかということは、対策を講じたりターゲットをしぼったりする上で非常に重要です。そして、それはイメージや体感ではわかりません。なんとなく中国人が多いかな、と思っていたら実は最も多いのは韓国人だった、ということもあるでしょう。正しいデータ活用をすることで、最も注力すべきはどこなのかということがわかってきます。体感ではかるよりも正確に、そして効率的に施策を行えます。
ここでは、電車・鉄道という業界・業種におけるデータ活用のプロモーション事例を紹介していきます。
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「インバウンドコンサル」の資料を無料でダウンロードする「インバウンドデータ」の資料を無料でダウンロードする「調査・リサーチ」の資料を無料でダウンロードする西鉄と日立、交通データ活用した次世代バス事業で協創
西日本鉄道と日立製作所は、次世代バス事業で協創を開始。その第一弾として、先端のICTを活用し、バスダイヤ運行計画支援システムの構築に取り組むことを明らかにしました。背景にあったのは、バス業界での長時間労働による離職、採用難など慢性的な乗務員不足の問題。西鉄は、これまで、ユーザーの利便性向上と、乗務員の労働時間短縮を両立させた運行ダイヤの最適化を実施してきました。また、ダイヤ編成のもととなる基礎データの分析は、大量のデータ抽出や、加工作業に時間を要し、路線の計画や見直しのための分析が効率的にできず、ダイヤ作成者の大きな負担となっていました。
こうした課題にむけ、西鉄と日立は、公共交通の維持と業務の効率化を両立する最適な運行計画の策定をめざして、ICTを活用した次世代バス事業に関するグランドデザインの検討を、2016年8月から共同ですすめてきました。バスの本数や利用者数を可視化して路線状況を効率的に分析するなど、実際のデータを活用した実証を重ね、今回その有効性を確認できたことから、ダイヤ編成の業務を支援するシステムを本格的に構築していくというもの。具体的には、バスの走行実績やバスの乗降に関する統計データを活用し、停留所ごとの乗車・降車の需要を分析し、出発地・目的地ごとの需要や運行本数、方面別の利用者数などを地図上に可視化。運行経路の需給状況やバス一台ごとの運行状況についても捕捉し、路線の混雑具合や潜在的な需要の把握など、最適なダイヤ編成に向けた取り組みを強化。今後は、実際のバス需要を踏まえた運行計画の最適化に向けてシステム化をすすめ、2019年度ダイヤ改正の計画策定から活用。将来的には、気象データや人口統計などのオープンデータとの連携や、AIを活用した需要予測などを検討し、本システムの高度化をめざすとのこと。
JR九州のポイントサービス統合後のマーケティング基盤としてプライベートDMP+MAを導入
株式会社ブレインパッドは、九州旅客鉄道株式会社のデジタルマーケティング基盤として、レコメンドエンジン搭載プライベートDMP「Rtoaster(アールトースター)」とBtoC向けマーケティングオートメーション(MA)プラットフォーム「Probance(プロバンス)」を導入したことを発表。九州旅客鉄道株式会社(以下JR九州)は、鉄道事業を中心として、旅行業や駅ビル開発などの不動産業など、九州全域にわたる総合的なまちづくりを推進する事業を展開しています。2017年7月、JR九州は、それまで別々に運営していた3つのポイントサービス(SUGOCAポイント、JQポイント、eレールポイント)を「JRキューポ」として統合しました。「JRキューポ」をお客様のライフスタイル全般をカバーするポイントサービスと位置づけ、取得したデータをより細やかなマーケティング活動に活用していく考えです。
JR九州は、従来よりインターネットでの列車ネット予約サービスを展開する中で、列車での移動に加えて滞在先でのグループ系列ホテルや飲食店の利用など、お客様に「移動+ショッピング」「移動+体験」を促したいと考えていました。しかし、サービス毎に別々のポイントシステムを運営しており、システム間のデータ連携ができていなかったことから、これらのデータを十分にマーケティング施策に活用できない点が課題となっていました。そこで、2017年7月に3つのポイントサービスを「JRキューポ」として統合することで、まずはサービスを横断してデータを蓄積するためのデータ基盤を構築しました。そして、次のステップとして、インターネットからのきっぷ購入の増加と、JR九州グループ全体でのクロスセルの創出を目的とし、お客様とのコミュニケーションを可視化し、効率よくコミュニケーションを実施できるマーケティングアクション基盤を導入したいと考え、ブレインパッドの「Rtoaster」と「Probance」を導入しました。
JR東日本、ビッグデータ活用に向け線路設備モニタリング装置導入
JR東日本は、将来の労働人口の減少を見据えた仕事の仕組みづくりに向け、線路の状態を遠隔監視できる線路設備モニタリング装置を本格導入すると発表しました。線路設備モニタリング装置は、軌道変位モニタリング装置と軌道材料モニタリング装置で構成し、営業列車の床下に搭載。軌道変位モニタリング装置は、レールにレーザーを照射して線路のゆがみを測定します。測定したデータは無線によって保線技術センターに伝送。営業列車で測定するために、無人で測定する技術を確立し、待避線に入った場合や折返し運転を行った場合でも、位置を検知して自動的に処理するというまた、測定したデータの中から、ノイズなどが少なく最も品質の高いデータを選定する技術も確立したといいます。
本装置の導入により、線路保守の分野でビッグデータ分析に基づく、CMB型(状態を把握して最適な時期に補修を行うメンテナンス)のメンテナンス手法の導入を図る予定です。軌道変位モニタリング装置は39台、軌道材料モニタリング装置は36台導入し、2020年度末までに50線区に導入する予定。これにより、多いところでは毎週行っていた徒歩による線路点検作業を効率化でき、社員の安全性向上に加え、線路点検の品質向上も期待できるとのこと。