食品・お菓子メーカーはどうやってインバウンドにおいて地方誘致・地方創生に取り組むべきなのか?
インバウンド市場が盛り上がる中で、食品・お菓子メーカーが地方誘致・地方創生によってインバウンド集客で成功する事例が増加しています。都心部での訪日外国人受け入れのノウハウをそのまま持っていって成功する場合もあれば、地方ならではの特色を活かしたり、個別の取り組みが評価されている事例もあります。
このページでは、食品・お菓子メーカーの地方誘致・地方創生のインバウンド対策やインバウンド集客における活用について、次の3つの事例を取り上げます。
- 食品・お菓子メーカー×地方誘致・地方創生事例その①:人気キャラクターとコラボレートすることで「味噌汁」を世界に発信する「マルコメ」
- 食品・お菓子メーカー×地方誘致・地方創生事例その②:海外での餃子人気を受け実店舗をオープンした「味の素冷凍食品株式会社」
- 食品・お菓子メーカー×地方誘致・地方創生事例その③:「抹茶味」で大きく注目を集めた「ネスレ」のキットカット
地方誘致・地方創生のためのインバウンド集客やインバウンド対策においては、業界・業種やターゲットとする国籍によってかなりその内容が様変わりします。例えば、中国出身の訪日外国人には人気の観光地が、台湾出身の訪日外国人には人気ではなかったり、その消費動向が異なっていたりすることがあります。またこういた訪日外国人の国籍とは関係ない共通の手法が、色々な国からの訪日外国人にしっかりと効果がある場合もあります。
ここでは、食品・お菓子メーカーという業界・業種における地方誘致・地方創生の各社の事例を元にして、効果的な地方誘致・地方創生を活用したインバウンド対策やインバウンド集客のケーススタディーをしてみます。それでは見ていきましょう。
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「インバウンドコンサル」の資料を無料でダウンロードする「広告運用」の資料を無料でダウンロードする「展示会出展サポート」の資料を無料でダウンロードする人気キャラクターとコラボレートすることで「味噌汁」を世界に発信する「マルコメ」
「マルコメ」は創業安政元年(1854年)の日本の老舗味噌メーカーです。「マルコメ」は1982年に「だし入り味噌・料亭の味」を発売し、これによって大きくシェアを伸ばすと共に認知度を高め、現在までロングセラー商品として販売しているほか、これ以外にも様々な即席商品を販売しています。味噌汁というと海外では「ミソスープ」として知られる日本食で、「ミソスープ」という言葉で通じてしまうほどの知名度がある食べ物です。
ジャパンパートナーシップの英字フリーペーパー「METROPOLIS」が2016年に行った調査では、訪日・在日経験のある外国人207名を対象に聞いたところ、和朝食など日本の食事で、外国人が食べてよかったと感じたものを聞くと、1位「焼き魚」(42.8%)に続いて「味噌汁」が2位(40.9%)となっています。
人気キャラクターとコラボレートすることで「味噌汁」を世界に
「マルコメ」ではこうした訪日外国人の味噌汁好きをヒントにインバウンド向けに人気の高いサンリオの人気キャラクターである「ハローキティ」とコラボレート、訪日外国人の土産需要に応える新商品「ハローキティのおみそ汁」を開発しました。この商品はフリーズドライの粉末みそに湯を注いで飲むインスタントのため、海外でも手軽にみそ汁を楽しめるもので、パッケージを缶とすることで、飲み終わった後も缶ケースとして使用してもらうことが可能というもの。こうしたお土産品であれば、全国の空港など様々な場所に置いてもらうことが可能なため、ある程度の地方誘致に役立つ商品だと言えるでしょう。
海外での餃子人気を受け実店舗をオープンした「味の素冷凍食品株式会社」
「味の素冷凍食品株式会社」は、中央区銀座にある味の素グループの冷凍食品メーカーですが、唐揚げ、餃子、シュウマイ、チャーハンなど、実に様々な冷凍食品をラインナップしています。餃子は中国が発祥の食べ物ですが、日本の餃子は独自の進化を遂げ、これが海外に輸出されることで、アジア圏を中心に人気となり、栃木県の宇都宮、静岡県の浜松市、福岡県北九州市の八幡餃子など、様々な地方の餃子が紹介さされるなどして結果的に地方誘致・地方創生につながっています。
海外での餃子人気を受け実店舗をオープンした「味の素冷凍食品株式会社」
「味の素冷凍食品株式会社」はこうして訪日外国人に日本の餃子が高い人気を得ていることから、東京都港区赤坂に「GYOZA」(餃子)の魅力を世界に発信するため、「GYOZA IT.」(餃子しよう!の意味)を開店しました。これは特に東南アジアやヨーロッパで展開している餃子の売れ行きが好調なことから、国内でもワインやシャンパンと共に冷凍餃子を訪日外国人に楽しんでもらうためにオープンした店舗です。
餃子を焼く様子はオープンキッチンで見えるようになっており、焼いている様子などをしっかりと見て楽しんでもらうようになっています。席数は120席のテーブル席の他にカウンターを設置、さらに15カ国語の言語に対応可能なスタッフが接客を担当しています。こうした取り組みでさらに日本の餃子の知名度が上がることにより、餃子の本場の地方都市への送客が期待されます。
「抹茶味」で大きく注目を集めた「ネスレ」のキットカット
農林水産省が観光庁の「訪日外国人消費動向調査」を元に推計した資料によると、菓子類の売上は平成27年度が約1.2兆円、平成28年度は約1.3兆円と堅調に推移しており、訪日外国人にとって日本のお菓子が高い人気を誇るということを裏付けています。また、YouTube上では日本のお菓子に関する動画が245万件も存在しており、これは今後も増加を続けると予想され、海外に比べて繊細な味、見た目、綺麗なパッケージの商品が人気となっています。
「抹茶味」で大きく注目を集めたキットカット
菓子メーカーにとってもインバウンドは大きな市場であり、その中でも特に訪日外国人に人気の味であるのが「抹茶味」です。特にこの「抹茶味」のお菓子で、訪日外国人から指名買いとも言えるほど高い人気を誇るのが「ネスレ」のキットカットです。キットカットはイギリスのお菓子ですが、本国ではそのフレーバーはおよそ10種類。対して日本の場合は、季節や地域限定のフレーバーが次々と登場したことで、今までに登場したフレーバーは限定のものを含めると300種以上。そしてこうした本国にないフレーバーの元祖だったのが、2004年に登場した「抹茶味」だったというわけです。
それ以降もロングセラーを続ける抹茶味ですが、こうした抹茶の世界的人気はお菓子を超えて広がっており、特に抹茶では有名な京都府、奈良県、滋賀県、三重県、静岡県などではこうした抹茶ブームを受けて訪日外国人が増加するところ、また中国産、韓国産の抹茶が伸びによって苦しんでいるところもあります。現在生産地ではこうした訪日外国人の増加、お茶の消費増に向けて国内外でのブランド力の強化を進めています。