DMOはどうやってインバウンドにおいて地方誘致・地方創生に取り組むべきなのか?
インバウンド市場が盛り上がる中で、DMOが地方誘致・地方創生によってインバウンド集客で成功する事例が増加しています。都心部での訪日外国人受け入れのノウハウをそのまま持っていって成功する場合もあれば、地方ならではの特色を活かしたり、個別の取り組みが評価されている事例もあります。
このページでは、DMOの地方誘致・地方創生のインバウンド対策やインバウンド集客における活用について、次の3つの事例を取り上げます。
- DMO×地方誘致・地方創生事例その①:広域連携DMO「せとうちDMO」
- DMO×地方誘致・地方創生事例その②:地域連携DMO「ふらの観光協会」
- DMO×地方誘致・地方創生事例その③:地域DMO「NPO法人阿寒観光協会まちづくり推進機構」
地方誘致・地方創生のためのインバウンド集客やインバウンド対策においては、業界・業種やターゲットとする国籍によってかなりその内容が様変わりします。例えば、中国出身の訪日外国人には人気の観光地が、台湾出身の訪日外国人には人気ではなかったり、その消費動向が異なっていたりすることがあります。またこういた訪日外国人の国籍とは関係ない共通の手法が、色々な国からの訪日外国人にしっかりと効果がある場合もあります。
ここでは、DMOという業界・業種における地方誘致・地方創生の各社の事例を元にして、効果的な地方誘致・地方創生を活用したインバウンド対策やインバウンド集客のケーススタディーをしてみます。それでは見ていきましょう。
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「インバウンドコンサル」の資料を無料でダウンロードする「広告運用」の資料を無料でダウンロードする「展示会出展サポート」の資料を無料でダウンロードする広域連携DMO「せとうちDMO」
せとうちDMOは、瀬戸内ブランドの確立による地方創生を目指し、プロモーション、マーケティング、プロダクト開発支援を行い、瀬戸内地域の観光産業活性化に取り組む官民が連携した組織です。
2013年に、瀬戸内を囲む7県(兵庫県、岡山県、広島県、山口県、徳島県、香川県、愛媛県)が合同し、瀬戸内全体の観光ブランド化を推進するための「瀬戸内ブランド推進連合」が結成され、瀬戸内全体での観光地マーケティングやプロダクト開発を推進してきました。
同組織は、更なる推進体制の強化に向けて2016年3月に一般社団法人せとうち観光推進機構に発展改組され、地元の金融機関などの出資により設立された株式会社瀬戸内ブランドコーポレーションと密接に連携し、両者が一体の「せとうちDMO」として、瀬戸内エリアのブランド価値向上に取り組んでいます。
せとうちDMOでは、米国の訪日外国人受入数が、2010年間からの4年間で高い伸び率を記録していることに着目。その立役者であるブランドUSA(米国の政府観光局)が行っている対象市場の選考方法やトラベルライフサイクルの考え方などを、せとうちDMOの戦略のベンチマークとしています。
地域連携DMO「ふらの観光協会」
ふらの観光協会は「富良野・美瑛」のブランディングを目指し、6市町村の行政と各観光協会を中心に交通・食関連事業者など27団体で構成されたDMO。「富良野・美瑛」のブランディングを目指して、DMOの母体となる「富良野美瑛広域観光推進協議会」が平成6年に発足。6市町村の行政と各観光協会を中心に交通・食関連事業者など27団体で構成し、お客様に快適に周遊・滞在していただくためのパートナーシップ関係を構築しています。
平成25年度には「富良野・美瑛観光圏」が観光圏整備実施計画の認定を受け、地域が一体となってブランディングの強化に取り組んでいます。
宿泊や体験プログラムの予約から決済まで、一括管理・販売ができるシステムを導入し、ワンストップ窓口を構築。SNSの運用にあたっては、外国人の専門スタッフを配置し多言語(英語・中国・ハングル)での情報発信を実施しています。また、WEBサイトのアクセス解析を行い、閲覧されている端末や国別、市町村別のユーザー数を把握・分析することでマーケティングに活用しています。
また、都会では味わえない開放感、旬の食材、風の匂いなど五感を解放する癒しの時間・空間の拠点とするため、また異業種(特に農業)と住民との交流の場とするため、眺望の素晴らしい場所をピックアップしベンチを設置する計画「田園テラス」を各交流地区の整備にも力を入れています。
このほか、地元の外国語のできるボランティアガイドを対象に、地域の観光情報、自然に係る基礎知識や、高い接客技術を習得させることで、従来のガイドから脱皮したコンシェルジュ的人材(スキーホスト)として育成。訪日外国人の満足度向上による、リピーター化や滞在の長期化を図っています。
地域DMO「NPO法人阿寒観光協会まちづくり推進機構」
阿寒観光協会まちづくり推進機構は、阿寒湖温泉地区の観光客減少に危機感をもった住民が主体となってつくられたNPO法人によるDMOです。阿寒湖温泉地区は、バブル崩壊後も団体周遊の拠点として客足は伸びていましたが、時代の流れとともに客層が団体客から個人へと移るにつれ、宿泊客数、遊覧客数、おみやげの売上げが徐々に低迷。
こうした危機感を背景に、住民主体で「阿寒湖温泉再生プラン2010」を策定し、その推進体制として地区内の多様な主体によって構成するNPO法人阿寒観光協会まちづくり推進機構を設立。観光関係者のほか住民も参画した分科会を設置し、「できることから進めていく」という方針のもと、具体的な阿寒湖温泉の観光地域づくりを進めています。
観光立国ショーケースの対象地域としてアドベンチャーツーリズム(AT)の世界的な拠点とするために、DMC「阿寒アドベンチャーツーリズム株式会社(AAT)」を設立し、AT顧客を満足させ得るグローバル基準の高付加価値なAT滞在プログラムの開発をATTA(アドベンチャートラベルトレードアソシエーション)と連携しつつ進めています。また、日本初の「光と音の演出で夜の森を歩く」というナイトフィールドミュージアムプロジェクトを、AATを運営主体として、2018年夏を目途に導入を目指しています。
このほか、訪日外国人に対応できるようサインやWi-Fiを完備したまちなか循環バスの運行にも同基金が活用されています。